第II部 国土交通行政の動向 

(2)船舶からの排出ガス等対策

 船舶については、エネルギー消費効率の面では、自動車その他の輸送手段に比べ優れた輸送特性を有しており(内航船舶のトンキロ輸送あたりのCO2排出量はトラック輸送の約5分の1)、特段の大気の汚染等の防止規制が講じられてこなかった。しかし近年、環境問題に関する国民の意識が高まってきており、1隻あたりのNOx等の排出量が大きく、我が国全体に占める排出シェアが大きい(NOxについては国内総量比の約30%)船舶に係る大気汚染防止施策の必要性が高まってきている。
 一方、船舶は、高い国際移動性という特徴を持っていることから、規制の実効性を確保するため、設備や構造に関する基準について国際的に合意された規則を統一的に適用することが非常に重要である。国土交通省としても、我が国が世界の海運・造船大国であるとの立場に鑑み、船舶からの大気汚染等の防止のための国際条約の策定に向け積極的に取り組んできた。IMOにおける「1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書(MARPOL73/78条約)によって修正された同条約を改正する1997年の議定書(97議定書)」に対応して船舶からの大気汚染等の防止を図るため、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律案」を第159回国会に提出したところであり、また、更なる環境負荷低減に向けた技術基盤の検討を行っている。

 

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