第I部 東アジアとの新たな関係と国土交通施策の展開 

(東アジア諸国・地域及び日本の運輸関連産業)

 東アジア諸国・地域の運輸関連産業について見ると、まず、物流事業者(フォワーダー(注1)・インテグレーター(注2))については、日本企業は主要企業の一角を占めているが、東アジア諸国・地域の企業は主要企業に含まれておらず、日本企業の競争力が東アジア諸国・地域の企業と比較してなお保たれている分野と言える。また、東アジア諸国・地域における物流が増大する中で、日本の物流事業者が中国等に展開する事例も見られる。

 
図表I-2-2-6 世界の主要フォワーダ・インテグレーター

世界の主要フォワーダーインテグレターの営業収入ランキングによると、世界1位はドイツのドイツバーン、スティネス、シェンカーグループで約353億ドル、2位はアメリカのユーピーエスで約335億ドル、3位はドイツのドイツポストエクスプレス、ロジスティクスアームで約279億ドル、4位はアメリカのフェデックスで約247億ドル、5位は日本の日本通運で約158億ドルとなっいる。欧米の企業が上位を占める中、日本の日本通運が第5位にある。
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図表I-2-2-7 世界の造船会社上位20社

2003年の建造量でみた世界の造船会社ランキングによると、上位3社は韓国の造船会社が占めている。上位20社では、日本企業が12社、韓国が5社、台湾が1社、中国が2社となっている。
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 しかし、他の運輸関連産業について見ると東アジア諸国・地域の企業の競争力が増しつつある分野もある。
 例えば、造船における企業ランキングでは、上位20社は全て東アジア諸国・地域及び日本の企業であり、その半数以上が日本の企業により占められているが、一部の東アジア諸国・地域の企業が日本企業よりも上位となっている。
 また、海運、航空における企業ランキングでは、東アジア諸国・地域の企業の一部が世界の主要企業の一角を占め、かつ日本企業よりも上位となっている。

 
図表I-2-2-8 東アジア諸国・地域と日本のコンテナ船運航船腹量上位15社(2003年12月31日現在)

保有船舶の船腹量でみたコンテナ船運航会社ランキングによると、東アジア諸国・地域の企業では、2003年には世界3位が台湾、5位が韓国、7位がシンガポール、9位が中国などとなっている。日本企業は8位、10位、11位である。
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図表I-2-2-9 東アジア諸国・地域と日本の航空会社上位10社(2003年)

有償旅客キロでみた東アジア諸国・地域と日本の航空会社ランキングによると、2003年にはシンガポール航空が世界4位、日本航空が7位、香港のキャセイパシフィック航空が11位、タイ国際航空が12位、韓国の大韓航空が15位、マレーシア航空が18位、台湾の中華航空が22位、台湾のエバー航空が27位、全日空が29位となっている。
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 このように競争が激しくなる中で、日本企業が東アジア諸国・地域の企業や欧米企業と提携する事例(アライアンス)も見られる。

 
図表I-2-2-10 基幹航路の三大アライアンス(2003年12月現在)

基幹航路には三大アライアンスが形成されている。このうち、グランドアライアンスには日本郵船が、ニューワールドアライアンスには商船三井が、シーケイワイエイチには川崎汽船が参加している。
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図表I-2-2-11 世界の航空会社のアライアンス(2005年2月)

世界の航空会社では3大アライアンスが形成されている。2005年2月の東アジア諸国・地域と日本の加盟状況をみると、世界の15社が加盟するスターアライアンスには日本の全日空、韓国のアシアナ航空、シンガポール航空、タイ国際航空が加盟している。世界の9社が加盟するスカイチームには韓国の大韓航空が加盟している。世界の8社が加盟するワンワールドにはキャセイパシフィック航空が加盟している。
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 また、ホテル業等、東アジア諸国・地域の資本の企業が日本に展開する例も見受けられる。
 このように、東アジア諸国・地域の運輸関連企業の競争力が増している中で、日本の運輸関連企業が競争力を維持していくためには、海外における参入障壁や国内における高コスト構造の改善等、制度面での環境整備が必要となる。


(注1)荷主の依頼を受けて、他の運送業者の運送手段を使って貨物の運送を引き受けることを業とする者
(注2)フォワーダーと航空会社の機能を兼ね備え、ドア・ツー・ドアの輸送サービスを提供する航空貨物運送業者

 

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