第I部 東アジアとの新たな関係と国土交通施策の展開 

(ブロック中心の拠点性の向上)

 第1節で見たように、ブロック中心都市圏は今後も人口が比較的安定して推移すると予測されるが、ブロック圏においては、都市機能の集積する政令指定都市がブロック圏における拠点性を高めている。
 例えば、宮城県以外の東北ブロック内の各県の県外転出者に占める宮城県を転出先とする者の割合は、1965年(昭和40年)には7.3%であったのが1995年(平成2年)には19.0%、2003年(平成15年)には18.0%となっており、政令指定都市である仙台市が所在する宮城県の求心力が高まっている。また、九州ブロックでは、福岡県の人口がブロックの総人口に占める割合は、1950年(昭和25年)には29.2%であったのが2000年(平成12年)には37.3%に上昇している。この割合は今後も緩やかに上昇を続け、2030年(平成42年)には40.7%に達すると推計されている。

 
図表I-3-2-3 福岡県の人口及び九州ブロックの総人口に占める割合の推移

福岡県の人口と九州ブロックの総人口に占める割合の推移を見ると、福岡県の人口は1950年は約3,530,000万、2030年は約4,985,000人になる。一方、九州ブロックの人口に占める割合は、1950年は29.2%であり、その後一貫して増加し続け、2030年には40.7%になる。
Excel形式のファイルはこちら


 人の流動を見ても、例えば中国ブロック(注)では、広島県以外の各県を出発地とする総流動に占める広島県を目的地とする流動の割合が、1990年(平成2年)には23.5%であったのが2000年(平成12年)には30.6%となるなど、ブロック内での流動において政令指定都市の所在する県を目的地とする流動が高い割合を占めている。
 特に、北海道と九州の各ブロックでは、総流動に占めるブロック内流動の割合と都道府県間移動に占めるブロック内移動の割合がともに高く、かつ、ブロック中心(政令指定都市の所在する道央地域又は福岡県)以外の地域におけるブロック中心を目的地とする流動が総流動に占める割合が高くなっており、政令指定都市を中心としたブロック圏が形成されていることがうかがえる。

 
図表I-3-2-4 北海道・九州におけるブロック形成の状況

北海道及び九州におけるブロック形成の状況を見ると、北海道では、ブロック内流動に占める割合が78.6%、ブロック内移動人口の割合が78.6%、ブロック中心地域を目的とする流動の割合は62.9%である。一方、九州では、ブロック内流動の占める割合が84.8%、ブロック内移動人口の割合が47.1%、ブロック中心県を目的とする流動の割合が50.9%である。
Excel形式のファイルはこちら


 これまで見たように、地方部においては、ブロック圏を形成して広域的な社会経済活動が営まれるようになってきていると考えられるが、こうした広域的なブロック圏の形成は、少子高齢化の進展が見込まれる中で、地方部における社会経済の機能や活力を維持していく上での一つの有効な対応となってくるものと言えよう。


(注)鳥取県、島根県、岡山県、広島県及び山口県をいう。以下この節において同じ。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む