第I部 東アジアとの新たな関係と国土交通施策の展開 

(出入国の状況)

 地方部(注1)においては、出国者、入国者の双方において、東アジア諸国・地域の占める割合が全国平均に比べて高いものとなっている。
 2000年(平成12年)の居住地ごとの日本人出国者の状況を見ると、地方部に居住する日本人出国者のうち東アジア諸国・地域へと渡航した者の占める割合は52.8%と全国平均の46.1%を上回っている。東アジア諸国・地域へと渡航する人の増加の状況を三大都市圏と地方部とで比較した場合、1980年(昭和55年)から1990年(平成2年)への増加率は大都市圏が地方部を上回っているが、1990年から2000年では地方部が大都市圏を上回っており、地方部と東アジア諸国・地域との間の交流は近年になって活発化している。

 
図表I-3-2-5ブロック別の東アジア諸国・地域への渡航者の割合(2000年)(注2)

2000年におけるブロック別の東アジア諸国・地域への渡航者の割合を見ると、北海道は37.2%、東北では47.6%、関東では41.7%、北陸では49.4%、中部では46.2%、近畿では48.9%、中国では55.2%、四国では50.3%、九州では60.3%、沖縄では56.0%であり、地方部では46.1%である。
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 訪日外国人の状況を入国地別に見ると、地方部では2003年(平成15年)に約93万人が入国しているが、そのうちアジアの国・地域出身の入国者の占める割合が89.1%と全国平均の66.2%を大きく上回っている。また、1980年(昭和55年)から2003年までの間で、地方部への外国人入国者は約79万人増加しているが、このうちアジアの国・地域出身の入国者が約71万人と大半を占め、その大部分は韓国、中国、台湾及び香港出身の入国者となっている。
 さらに、外国人入国者の我が国への入国地の状況を見ると、アジアの国・地域出身の入国者については、地方部から入国する割合が2003年(平成15年)において21.9%と全ての外国人入国者における割合(16.3%)を上回っている。特に、韓国出身の入国者はその30.7%が地方部から入国しており、入国地が比較的分散している。

 
図表I-3-2-6 地方部における外国人入国者数の推移

地方部における外国人入国者数の推移を見ると、1980年には総数が142,096人、アジア合計が120,854人であったが、2003年には総数が933,182、アジア合計が831,111人である。
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 このように地方部と東アジア諸国・地域との直接的な人の流れが増大した背景として、地方部と東アジアを結ぶ航空ネットワークの形成が進んだことが挙げられる。地方部の空港と東アジア諸国・地域及び極東ロシアを結ぶ定期航空路は、1986年(昭和61年)には国内7空港(就航先6都市・週74便)であったが、2004年(平成16年)には21空港(就航先24都市・週342便)と大幅に増加している。2004年の就航先は、ソウルが国内20空港からと最も多く、上海が12空港からとなっている。

 
図表I-3-2-7 東アジア諸国・地域及び極東ロシアとの定期路線を有する地方部の空港の変化

東アジア諸国・地域及び極東ロシアとの定期路線を有する地方部の空港の変化を見ると、1986年には7空港、週74便であったが、2004年には21空港、週342便である。

 なお、入国地別の状況ではなく、我が国の主要空港を利用した訪日外国人に対する訪問先調査の結果から訪日外国人旅行者の国内での訪問先の動向を推計すると、北海道及び九州の各ブロックでは東アジアの5ヶ国・地域からの旅行者が占める割合が全国平均を大きく上回っている。

 
図表I-3-2-8 訪日外国人旅行者に占める東アジア5ヶ国・地域の割合(2002年度)

2002年度における訪日外国人旅行者に占める東アジア5ヶ国・地域の割合を見ると、全国が55.7%であるのに対し、北海道が80.4%、東北が63.2%、関東が52.1%、北陸が40.2%、中部が53.5%、近畿が56.9%、中国が23.0%、四国が31.5%、九州が73.7%、沖縄が49.1%である。
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 出入国の状況をより詳細に見てみると、韓国へ渡航する九州ブロックの居住者が2000年(平成12年)で総渡航者の27.8%と全国平均の2倍のシェアとなっている。一方、韓国出身の入国者についても、2003年(平成15年)には全体の18.3%が九州ブロックから入国し、全ての入国外国人の65.1%を占めており、地理的に近接する九州ブロックと韓国の結びつきの強さがうかがえる。
 また、台湾出身の入国者については、1980年(昭和55年)には九州ブロックから入国する割合が比較的高かったが、2003年(平成15年)には北海道から入国する割合が高くなっており、台湾からの旅行先として北海道の人気が高まっていることがうかがえる。なお、2003年度(平成15年度)に北海道を訪れた外国人のうち4割は台湾からとなっている(注3)

 
図表I-3-2-9 台湾出身の入国者の入国地割合の推移

台湾出身の入国者の入国地割合の推移を見ると、1980年は大都市部が70.7%、北海道及び九州を除く地方部が13.9%、北海道が0%、九州が15.4%であるが、2003年は大都市部が76.3%、北海道及び九州を除く地方部が6.7%、北海道が10.1%、九州が6.9%である。
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(注1)この項目(出入国の状況)においては、北海道、東北ブロック、北陸ブロック(新潟県、富山県、石川県)、中国ブロック、四国ブロック、九州ブロック及び沖縄県をいう。
(注2)関東ブロック:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県及び長野県をいう。図表I−3−2−8、図表I−3−2−9において同じ。
中部ブロック:岐阜県、静岡県、愛知県及び三重県をいう。図表I−3−2−8、図表I−3−2−9において同じ。
近畿ブロック:福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県をいう。図表I−3−2−8、図表I−3−2−9において同じ。
(注3)北海道「北海道観光入込客数調査」による。

 

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