第I部 東アジアとの新たな関係と国土交通施策の展開 

2 魅力と競争力のある地域や都市の形成

 社会経済活動の地球規模化は、地域や都市にとっては国際的な競争の到来を意味している。これまで地方部の地域は、大都市圏への食料等の供給や、土地や労働力の調達が比較的容易であることを活かした工場誘致など、主として国内の大都市圏との関係においてその位置付けを規定して発展を図ってきた。しかしながら、国際的な地域間競争の下では、海外からの低廉な輸入品や企業の海外立地などが進む中、大都市圏との相対的なコストの安さといったいわば「量的な競争力」ではなく、地域の文化や伝統、知的資源の集積といった「質的な競争力」を高め、これまで以上に地域の特色を活かした強み・個性を発揮してその活力につなげていくことが求められてくる。
 地域には、固有の歴史や文化、伝統があり、それを体現する街並みや行事、気風やもてなしの心などが見られる。また、気候や風土も様々であり、自然景観や農林水産物等に反映されている。さらには、地域の産業や知的資源の集積など、それぞれの地域には多種多様な有形無形の資源が存在している。地域においては、こうした独自の資源を活用した交流人口の拡大や新規産業の創出等の取組みが行われている。このような創意工夫による個性ある地域づくりの動きはますます盛んになると考えられ、その際には、東アジアの近隣地域との連携や、東アジアをも消費地として捉えた取組みを進めていくことも有効となろう。

 

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