第I部 東アジアとの新たな関係と国土交通施策の展開 

第2節 東アジアとの発展に向けた国際的な連携・協力

 日本は東アジアとの相互依存関係を深めつつあり、かつ、地理的にも近接していることから、東アジアの国々の抱える課題は、日本にとっても影響を及ぼすこととなる。東アジアが地域として総体的に発展していくためには、東アジアの抱える課題の解決に向けた連携や協力が重要である。我が国では従来からODA等により課題の解決に積極的に協力してきたが、引き続きこうした支援を推進していく必要がある。
 支援に当たっては、その成果を持続的なものとするため、相手国の制度整備や人材育成等も重要であり、ハード整備の支援のみならず、研修の実施や専門家の派遣等により制度整備、計画策定、人材育成等を推進していく必要がある。また、安全問題や環境問題を中心として、知的財産権の保護に留意しつつ、必要に応じ、最新技術の導入・普及促進を図ることも重要である。

 さらに、第3極となりつつある東アジアの各国が共に発展していくという観点から、様々な分野において、各国が交流・協調する動きも見られ、国土交通分野についても様々な取組みを推進していく必要がある。例えば、交通分野や観光分野の連携として、「日・ASEAN交通大臣会合」「ASEAN+3観光大臣会合」等の取組みが進んでいるところであり、国土交通省としてもこうした取組みに積極的に協力していく必要がある。特に、「日・ASEAN交通大臣会合」の下では、「日・ASEAN交通連携枠組み」を設定し、物流プロジェクト、交通セキュリティプロジェクト等、21の交通連携プロジェクトに取り組んでいる。

 連携・協力を推進すべき一方で、東アジアの一部の国との間には、海洋調査船問題、竹島をめぐる領有権問題、日本海呼称問題等の課題も存在しており、これらの課題の解決が重要であるという点につき認識する必要がある。また、朝鮮半島をめぐる情勢、台湾海峡等の国家・地域間の緊張といった、東アジアの平和と安定を確保する際の不安定な要素が依然として存在することにも留意する必要があろう。

 

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