第I部 東アジアとの新たな関係と国土交通施策の展開 

1 交通ネットワークの構築

 東アジアでは、経済発展とともに貿易が増加しており、人流・物流ともに増大している。日本の製造業の海外展開に見られるように、東アジアでは地域全体として生産分担関係が構築されつつあり、地域におけるEPA/FTAの締結に向けた動きは国境を越えた経済社会活動を促進し、地域の相互依存がさらに進むと考えられる。
 東アジアでは経済活動の拡大、人口の増大、相互依存の進展と時期を同じくして人流・物流も増大することが予想され、円滑な人流・物流の確保に向けた施策を展開する必要がある。東アジアにおける効率的な輸送の実現は、地域の今後の発展のために不可欠な基盤であり、東アジアとの関係を深める日本経済や、日本企業が東アジアで活動するためにも重要である。
 既に東アジアで活動している日本企業においては、様々なボトルネックが認識されている。さらに、その結果、他地域において活動する日本企業よりも、物流関係費用の占める割合が高い傾向が見られる。今後、人流・物流が増大していく中でさらに問題が拡大するおそれがあり、東アジアにおける交通ネットワークの構築に協力していくことが重要である。具体的には、国際的な交通ネットワークを形成する港湾や空港の整備の支援を行うとともに、基幹的な道路や鉄道の整備に向けた協力を進めていく必要がある。また、こうしたハード面での協力だけでなく、国際物流システムの改善に向けたソフト面での連携・協力も必要である。
 こうした協力を進めていく際には、それぞれの国の発展への支援という視点に加え、東アジアの連携強化を支援するという視点から、アジアハイウェイやメコン地域開発といった、その影響が複数国にわたる国際的な社会資本整備を推進していくことが必要である。

 
図表I-4-2-1 物流関係費用の割合比較

日本企業が海外で製品を製造、販売する際の販売管理費と一般管理費の合計に占める物流費用の割合は北米地域で生産する場合が4.2%、イーユーが4.9%であるのに対して、アジアは8.9%と高くなっている。
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 また、東アジアと日本の双方における円滑な人流・物流の実現、交通産業の活性化の観点から、東アジアと日本との間で、自動車、ICカードなど交通に関わる技術の仕様の統一等の協調を推進することも求められる。

 

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