第I部 東アジアとの新たな関係と国土交通施策の展開 

3 環境問題・エネルギー問題への対応

 東アジアにおける環境問題は経済発展のボトルネックとなること、環境問題には地球温暖化など国境を越えて影響を及ぼすものもあることから、我が国がこれまで自国の環境問題を解決する過程で培ってきたノウハウを活用しつつ、我が国への影響が及びやすい東アジアにおける環境対策に協力していく必要がある。
 環境対策への協力に当たっては、環境保全と調和した「持続可能な開発」という観点も重要であり、東アジア海域環境管理パートナーシップ(PEMSEA)への協力等に取り組んで行く必要がある。また、大規模油流出事故が発生した場合に備えて、中国、韓国及びロシアなど近隣諸国との協力体制の構築を北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)を通じて進めているところであるが、引き続きこうした取組みを進める必要がある。

 エネルギー問題については、東アジアの経済活動が活発化するにつれ、エネルギー需要の増大が見込まれている。東アジアと日本の相互依存が深まる中、日本を含めた東アジア全体のエネルギー需要の安定を目指す取組みが求められている。
 従来の発電所建設等の支援によりエネルギー需要に応えるという視点だけでなく、東アジアにおける省エネルギーへの取組みを進めることが、エネルギー需要の増加を抑制して需給ひっ迫の緩和にも資することから、国土交通省もその一環として、各国と連携して環境にやさしい自動車の開発・普及を促進するなど省エネルギーについて協力していく必要がある。
 また、こうしたエネルギー需要の増大に伴い、資源を輸送する船舶の航行も増大が見込まれ、安定した資源輸送の確保への取組みが求められている。東アジア諸国・地域や我が国にとって資源輸送上重要なマラッカ・シンガポール海峡について、航行安全対策等の協力のあり方について関係各国との間で検討を進めているが、今後とも、海峡利用の実態を踏まえ、こうした取組みを進める必要がある。

 

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