第II部 国土交通行政の動向 

3 良好な都市環境の構築

(1)ゴミゼロ型都市への再構築

 都市再生プロジェクト第一次決定では、大都市圏において、廃棄物の発生抑制、資源としての再使用、再利用を進め、資源循環の「環」を形成することにより、ゴミゼロ型都市への再構築を行う「大都市圏におけるゴミゼロ型都市への再構築」が位置づけられている。首都圏ゴミゼロ型都市推進協議会においては、「東京圏におけるゴミゼロ型都市への再構築に向けて」を、また、京阪神圏ゴミゼロ型都市推進協議会においては、「京阪神圏におけるゴミゼロ型都市への再構築に向けて」を取りまとめ、平成16年度にはそれぞれフォローアップを実施した。国土交通分野では、特に大量に排出されている建設廃棄物について、排出抑制・リサイクルの取組みの強化や、リサイクル市場の拡大に伴い静脈系の物流を十分に考慮した静脈物流システムの構築が必要となっている。
 建設副産物については、昭和40年代以降に急増した建築物が更新を迎え、その解体・改修に伴って建設副産物が急増する見込みであること等から、これまで以上に建設副産物のリサイクルの推進が必要とされている。このため、建設工事のゼロエミッション化を目指して、リサイクルが困難な建設混合廃棄物になることが多い小口・少量の建設副産物(例えば木くずやプラスチック等)の効率的な分別、収集・運搬を行う建設副産物小口巡回共同回収システムの構築が必要となっている。
 また、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」による分別解体・再資源化等を推進するとともに、リサイクルされた再生品の市場拡大を図るため、工事発注者・排出業者・処理業者間において処理施設の稼動状況や再生資源の供給場所・量等に関して即時に情報を交換する建設副産物情報交換システムの活用等によるリサイクルルートの確保に努めている。

 
図表II-3-3-8 小口輸送システム

建設副産物小口巡回共同回収システムは、リサイクルが困難で建設混合廃棄物になることが多い小口・少量の建設副産物(例えば木くずやプラスチック等)を個々の事業者ではなく、共同で建設副産物を工事現場等から収集し、静脈物流センターへ集め、再資源化施設へ運搬するシステムである。

 
図表II-3-3-9 建設副産物情報交換システムの概要

建設副産物情報交換システムでは、排出事業者は、施設情報の検索や建設副産物排出計画・実績情報の登録を行い、処理業者は建設副産物排出実績情報の検索、施設情報の登録・更新を行い、工事発注者は施設情報の検索、実績情報の確認を行うことができる。

 リサイクルの進展に伴う廃棄物輸送の拡大により大量の自動車輸送が生じることも予想される。大都市圏においては、既に、交通公害、交通渋滞が極めて深刻な状況になっているだけに、大気汚染防止や地球温暖化防止、交通の円滑化の観点等も踏まえて、環境負荷・交通負荷の小さい物流体系を構築していくことが必要である。このため、背後の都市圏から発生する再生資源の処理拠点として、また再生品・再生材の輸送に広域的な静脈物流ネットワークを利用するため、首都圏及び京阪神圏における総合静脈物流拠点港(リサイクルポート)の整備を行っている。

 
図表II-3-3-10東京湾における各臨海部の現状と整備の方向性

東京湾では沿岸の各地から廃棄物が多く排出されており、一部は輸出されている。そこで、東京臨海部、京浜臨海部及び千葉臨海部のいずれの地域でもリサイクル処理施設や国際静脈物流の拠点等の整備を進める方向である。

 

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