第II部 国土交通行政の動向 

2 海洋性レクリエーションの振興

(1)プレジャーボート等の利用促進及び適正化に向けた総合対策

1)小型船舶操縦士免許制度の見直し
 航行の安全を確保しつつ、より簡素で合理的な制度とするため、プレジャーボート等を操縦するための小型船舶操縦士免許のうち、1級及び2級の免許についてこれまで設けられていた、いわゆる5トン限定免許(総トン数5トン未満の船舶に限定して操縦することができる免許の区分)を平成16年11月より原則廃止するとともに、免許取得に係る身体検査基準のうち弁色力(色を識別する能力)の基準について「色盲又は強度の色弱でないこと」を17年1月より「夜間において船舶の灯火の色を識別できること」に改正した。

2)小型船舶技術基準の見直し
 プレジャーボート等の小型船舶のうち、2級小型船舶操縦士の免許で航行できる沿岸水域(海岸から5海里以内)を航行するものについて、構造・安全設備等に関する技術基準を新たに設けた。
 これまでは、日本各地の沿岸を周遊するような長距離クルージングを行う場合には、沿海区域(海岸から20海里以内)を航行するための技術基準に適合した船舶を使用する必要があったが、この改正により、航海用具、救命設備、無線設備等の基準が一部緩和された沿岸水域の技術基準に適合した船舶で長距離クルージングが可能となった。

 
図表II-4-6-1 小型船舶操縦士免許制度及び小型船舶技術基準の見直し

プレジャーボート等を操縦するための、1級及び2級小型船舶操縦士について、いわゆる5トン限定免許を平成16年11月から廃止した。ただし、18歳未満の者が小型船舶操縦士として乗船する小型船舶の大きさについては、総トン数5トン未満としている。また2級小型船舶操縦士の免許で航行できる沿岸水域についてを航行するものについて、構造・安全基準に関する技術基準、いわゆる沿岸基準を新たに設けた。

3)ライフジャケットの着用等パトロール及び周知啓発活動等の実施
 平成15年6月に施行された「船舶職員及び小型船舶操縦者法」では、小型船舶を対象に酒酔い操縦や危険操縦の禁止、ライフジャケット等の着用等が義務づけられている。各地方運輸局等では、マリンレジャーが盛んになる夏季を中心に遵守事項に係るパトロール活動及び周知啓発活動を海上保安庁等の関係機関と連携し実施しており、小型船舶の一層の航行の安全を図っている。
 また、東京/大阪国際ボートショー等のイベントに参加し、ライフジャケットに関する実演の実施またはライフジャケット着用の体験をしてもらうことで、ライフジャケットの有効性、着用方法、手入れの方法等について、広く理解されるよう努めている。

4)関係者への啓発活動等による安全の確保
 不幸にして海中に転落した場合に生還するためには、まず海に浮いていることが重要であり、そのうえで速やかな救助要請を行う必要がある。海上保安庁では、ライフジャケットの常時着用、携帯電話等の適切な連絡手段の確保、海上保安庁への緊急通報用電話番号「118番」の有効活用を3つの基本とする自己救命策確保キャンペーンを実施して啓発・普及に努めている。特にライフジャケットについては、平成11年から15年までの5年間で小型船舶から海中転落した事故者の生存率が、ライフジャケット着用の場合79%、非着用の場合28%であることからも明らかなように、ライフジャケットの着用が死亡・行方不明事故の防止に大きく寄与している。このため、官民一体となった連携・協力のもと「ライフジャケット着用推進会議」を開催し、相互に最近の取組みや啓発活動計画について情報交換を行うとともに、ライフジャケット着用推進活動のための施策を推進している。

5)小型船舶の登録制
 小型船舶に対する登録・測度の義務付け等を内容とする「小型船舶の登録等に関する法律」により、小型船舶の所有者を特定することが可能となり、平成17年4月には全ての小型船舶の所有者が登録特定されることとなる。今後も関係機関と協力し、小型船舶の登録が着実に実施されるよう努めていくこととしている。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む