第II部 国土交通行政の動向 

(2)空港整備の推進

1)羽田空港の現状
 羽田空港は、全国48空港との間に1日約400往復(平成16年12月ダイヤ)のネットワークが形成され、国内線で年間約5,941万人(15年度定期便実績)の人々が利用している。
 羽田空港の首都圏における国内航空交通の中心としての機能を将来にわたって確保するとともに、航空機騒音問題の抜本的解消を図るため、昭和59年以来、東京都が造成した羽田沖廃棄物埋立地に沖合展開を行ってきた。平成16年12月1日には、第3期計画の最終段階となる第2旅客ターミナルの供用を開始し、現在は同ターミナルの拡張事業等を実施している。
 これらにより、羽田空港の発着枠は拡大されてきたが、国内航空需要の伸びは著しく、現在定期便に使用しうる782回/日の発着枠はすべて使用しており、既に能力の限界に達している。

 
図表II-5-1-10 羽田空港の離発着回数

羽田空港の1日当たりの離着陸回数は、1983年は400回であったが、徐々に増加を続け、1995年には560回、2000年には702回、2003年以降は782回となっている。
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2)羽田空港の再拡張事業
 首都圏における航空需要の増大に早急に対応するため、羽田空港に新たに4本目の滑走路等を整備して、年間の発着能力を現在の28.5万回(782回/日)から40.7万回(1,114回/日)に増強する再拡張事業の事業化が、平成16年度予算において認められた。本事業は、発着容量の制約の解消、多様な路線網の形成、多頻度化による利用者利便の向上と、発着余裕枠を活用した国際定期便の就航を図るものである。
 再拡張後の飛行ルートについては、平成16年5月に関係地方公共団体に対して国土交通省の案を提示し、了承されている。
 また、平成16年度は新設滑走路等の入札・契約手続を行っているが、透明性の高い入札手続を着実に進めるため、有識者からなる第3者委員会(「コスト縮減検討委員会」及び「技術検討委員会」)を開催し、これらの委員会からの提言を踏まえて、新設滑走路建設工事のコスト縮減を図ることとしている。国際線地区の整備についてはPFI手法を活用することとしており、16年度は制度設計等の検討調査を行っている。

 
図表II-5-1-11 羽田空港再拡張概略図

羽田空港南側海上に、B滑走路と並行の2500メートルの滑走路を新設する。

3)一般空港等の整備
 一般空港等については、離島を除いて新設を抑制するとともに、ハード・ソフトの施策の組合せや既存空港の十分な活用を中心とする質的充実に重点を移している。平成16年度は12空港の滑走路延長事業等を継続して推進するとともに、既存空港の機能保持と高質化等のための整備を実施している。
 さらに、滑走路新設・延長に係る新規事業については、透明性向上の観点から国土交通省が空港整備の指針を明示し、整備主体が需要・必要性の十分な検証、空港計画の十分な吟味、費用対効果分析の徹底等を行い、真に必要なものに限って事業化することとしている。また、構想・計画段階におけるPI(パブリック・インボルブメント)手続等を平成15年度より試行している。

4)航空サービスの高度化
 今後の空港整備については、航空輸送サービスの質や利用者にとっての使いやすさといった観点から、既存ストックを有効活用することにより、空港の利便性の向上等高質化のための措置を重視していく必要がある。このため平成16年度に空港アクセス等航空サービス高度化推進事業を創設し、航空サービスの高度化に関する重点戦略を策定するとともに、アクセス鉄道の整備や関西国際空港連絡橋通行料金の引下げ等を内容とする社会実験等の空港へのアクセス改善、バリアフリー化等の更に使いやすい空港機能の充実、計器着陸装置(ILS)の高カテゴリー化等の空港運用の高度化、国際線施設の拡充等を実施している。

 

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