第II部 国土交通行政の動向 

(4)SOLAS条約対応

 平成14年12月、IMOにおいて、海事保安の確保に関して、SOLAS条約(海上人命安全条約)附属書の改正が行われたことを受け、16年7月に「国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律(国際船舶・港湾保安法)」が施行された。
 この法律は、主に国際航海船舶の所有者、国際港湾施設の管理者等に対して、指標対応措置(注)の実施、保安管理者の選任、国等により承認を受けた保安規程に規定された事項の実施等を義務付けるとともに、外国船舶について保安の確保のために必要な措置が的確に講じられていない場合にはPSCによる航行停止等の措置や入港船舶について急迫した危険があり当該危険を防止するため他に適当な手段がない場合には入港禁止、港湾外退去等の措置を講ずることができることとするものである。
 国土交通省においては、国際航海船舶の保安規程の承認及び船舶検査、国際港湾施設の保安規程の承認、入港船舶に関する規制、国際航海船舶及び国際港湾施設に対する立入検査、PSCを通じて、海事保安の確保について積極的に取り組んでいる。
 なお、平成16年12月にアメリカ沿岸警備隊が苫小牧港、仙台塩釜港、名古屋港、神戸港及び博多港の現地調査をした結果、我が国における改正SOLAS条約の履行状況は非常に適切であり、ベストプラクティス(優良な取組事例)として高く評価された。
 一方で、国土交通省は各国の改正SOLAS条約の実施の支援について国際舞台においてもリーダーシップを発揮しており、SAFTI合意に基づく港湾保安対策の自己監査チェックリスト策定では、日米両国の共同提案によって平成16年12月にIMOの公式文書として採択されるなどの成果が得られている。

 
図表II-6-3-3 国際航海船舶及び国際港湾施設における保安措置

ソーラス条約の改正に伴い、国際船舶・港湾保安法が施行され、国際港海船舶、国際港湾施設について、貨物の取扱管理、船舶・港湾内外の監視、出入管理、保安管理者の選任が定められている。さらに、国際航海船舶については、船舶警報通報装置の設置、国際港湾施設については、制限区域の設定などが定められている。


(注)国土交通大臣が設定する国際海上運送保安指標に対応して行う制限区域等の管理等の措置

 

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