第II部 国土交通行政の動向 

(8)物流におけるセキュリティと効率化の両立

 現在の国際物流の主役を担うコンテナ貨物については、輸出入検査を行う際、中身を直接確認できる数量に限りがあることから、犯罪やテロに使用されるような危険物や麻薬等の違法な貨物が一般貨物に紛れて運搬される危険性が指摘されている。
 このような状況の下、先進諸外国や国際機関では、コンテナ貨物を中心とした国際物流のセキュリティ(注1)強化のため、様々な検討及び措置が行われており、アメリカにおいては、1)同国向けコンテナ貨物輸出が多い貿易相手国との税関職員相互派遣(CSI)(注2)、2)同国が示す貨物輸送安全強化基準について、適切な取組みを行う事業者に対する利便性付与(C-TPAT)、3)物流セキュリティ強化に関する実証実験支援制度(OSC)等の取組みが行われている。我が国においても、物流セキュリティの強化と物流効率化の両立を目標として、平成16年度より、民間の潜在力を最大限に引き出すための制度改革、規制改革等の施策と予算の組合せによる「政策群」という手法を活用し、関係省庁及び国際物流に関わる民間事業者と密接な連携を図りながら施策の検討を行っているところであり、平成17年3月には、安全かつ効率的な国際物流の実現に向けた施策パッケージとしてとりまとめることとしている。また、17年度には、施策パッケージの有効性を検証するため、国際コンテナ物流の実運送現場において実証実験を実施する予定である。


(注1)貨物の流れに関する不正行為を防止するための措置全般
(注2)我が国においては、平成15年3月から横浜港、平成16年5月から東京港、同年8月から名古屋港、神戸港において試験的に実施中

 

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