第II部 国土交通行政の動向 

第7節 地球環境の観測・監視

1 地球環境モニタリングと地球温暖化予測

(1)高度海洋監視システム(ARGO(アルゴ)計画)の構築

 海洋の変動は気候に大きな影響を及ぼすことが知られているが、現状では広大な海洋内部の観測データは乏しく、海洋の状況を把握するには水温や塩分を始めとする海洋観測を充実させることが必要となっている。
 そのため、海洋の内部を自動的に観測する装置(アルゴフロート)約3,000個を全世界の海洋に展開し、即時に監視・把握するシステムを構築する「高度海洋監視システム(ARGO計画)」が国際的に提唱され、世界気象機関(WMO)などの関係機関による国際協力の下で推進されている。国土交通省ではこの国際的プロジェクトに積極的に貢献し、長期予報の精度の向上や気候変動研究の進展を目指して、文部科学省と連携し、ARGO計画の構築を進めている。気象庁では、アルゴフロートの投入の一部を担当するとともに、全フロートからのデータを収集し、インターネットで公開するデータベースを運用している。
 また、ARGO計画で得られるデータを始めとする海洋観測データや大気の観測及び予測データを用いて数値計算により海面水温を予測する海水温予測モデルの高度化等に取り組んでいる。ARGO計画の進展により、気候変動や異常気象による被害や損害を防止・軽減するための対策を講ずることが可能になると期待されている。
 海上保安庁では、アルゴフロートのデータを補完するシステムとして、海洋短波レーダーを運用し、黒潮変動流域を即時に監視・把握し、伊豆諸島周辺海域の海流の状況をインターネットにより公開するとともに、関連するデータの長期保管を担当している。

 
図表II-7-7-1 高度海洋監視システム(ARGO計画)の観測概要

高度海洋監視システムとは、海洋気象観測船等により海洋に投入されたアルゴフロートが、およそ10日毎に水深約2000mまで投下・浮上を繰り返し、その際に測定される海面から水深2000mまでの水温などを衛生を経由して自動的に通報するシステムである。過去1ヶ月にデータを通報した数は全世界で平成16年11月25日現在で1348個であり、このうち日本のフロートは、200個である。

 

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