第I部 安全・安心社会の確立に向けた国土交通行政の展開 

1 国民の運輸の安全に対する信頼の揺らぎ

 輸送モード別に交通分野における事故件数と死傷者数の推移を見てみると、交通量が増加している中で、全体として事故件数、死傷者数共に顕著な増加を見せていないが、最近事故・トラブルが続発し、国民の運輸の安全への信頼が揺らいでいる。

(鉄道)
 列車走行キロが伸びている中、鉄道運転事故件数及び死傷者数は減少傾向を示してきたが、平成17年には4月にJR西日本福知山線列車脱線事故、12月にJR東日本羽越線列車脱線事故と被害の大きな事故が続発した。

 
図表I-2-4-1 鉄道運転事故件数、死傷者数及び列車走行キロの推移

列車走行キロが増加している一方、鉄道運転事故件数及び死傷者数は減少傾向にある。
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(航空)
 運航キロが伸びている中で、航空事故件数の顕著な増加は見られず、我が国の航空会社(注1)における乗客の死亡事故は昭和61年以降発生していないが、平成17年にはヒューマンエラーや機材不具合に起因する安全上のトラブルが続発した。

 
図表I-2-4-2 航空事故件数、死傷者数及び運航キロの推移

運航キロがのびている一方、航空事故件数の顕著な増加は見られない。
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(海運)
 輸送トンキロ・人キロは横ばいないし減少傾向にあり、事業用船舶の海難隻数は減少傾向にある。

 
図表I-2-4-3 海難船舶隻数(事業用)、海難に伴う死亡・行方不明者数及び輸送トンキロ・人キロの推移

輸送トンキロ・じんキロは横ばい、ないし、減少傾向にあり、事業用船舶の海難隻数は減少傾向にある。
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(自動車)
 走行キロが伸びている中、事業用自動車の重大事故(注2)件数及び死傷者数は長期的に見ると減少傾向にある。

 
図表I-2-4-4 事業用自動車の重大事故件数、死傷者数及び走行キロの推移

事業用自動車の走行キロがのびている一方、事業用自動車の重大事故件数及び死傷者数は減少傾向にある。
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 しかし一方で、国土交通省が平成17年12月に実施した意識調査において、公共交通機関を安全だと思いますか、それとも危険だと思いますかと質問したところ、「危険だと思う」、「どちらかといえば危険だと思う」と回答した人の合計が3分の1を超えており、最近続発している事故・トラブルによって国民の運輸の安全に対する信頼が揺らいでいることが分かる。

 
図表I-2-4-5 公共交通機関の安全性について

公共交通機関について、危険だとおもう、どちらかといえば危険だと思う、という回答が全体の三分の一を超えている。
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(注1)特定本邦航空運送事業者(客席数が100又は最大離陸重量が5万キログラムを超える航空機を使用して航空運送事業を経営する本邦航空運送事業者)
(注2)転覆、転落、火災、踏切若しくは重大な構造・装置の故障又は死者、重傷者を生じた事故

 

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