第I部 安全・安心社会の確立に向けた国土交通行政の展開 

2 ヒューマンエラー関連事故の続発

 交通分野全体として事故件数等に増加の傾向は見られない中、最近続発している公共交通関連の事故・トラブルについては、ヒューマンエラーとの関連が指摘されており、実際に輸送モード別に事故原因の内訳を見ると、人為的要因によるものが一定の割合を占めている。

 
図表I-2-4-6 輸送モード別事故原因

鉄道運転事故件数のうち、鉄道係員によるものは17.7%、航空事故件数のうち、操縦士によるものは22.6%、海難隻数のうち、人為的要因によるものは、86%、事業用自動車の重大事故件数のうち、乗務員によるものが58.1%を占めている。
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 このような状況を踏まえ、国土交通省では、平成17年6月に「公共交通に係るヒューマンエラー事故防止対策検討委員会」を設置し、公共交通に係る総合的かつ効果的なヒューマンエラー事故防止対策を検討しているところである。同年8月にまとめられた同委員会の中間とりまとめでは、専門家の意見や企業の取組事例のヒアリング等を踏まえて、陸・海・空の各輸送モードに横断的なヒューマンエラーの事故防止に係る問題点の整理と課題の抽出が行われた。
 ヒューマンエラーが関連する事故やトラブルの防止のためには、Man(人間)、Machine(機械)、Media(環境)、Management(管理)の4M、あるいはこれにMission(使命)を加えた5Mの複合原因ととらえてシステム全体を検討し、機械側の改善、人間側の改善、人間と機械のインターフェイス(人と機械が情報を相互にやりとりする「しかけ」)の改善、システム管理や作業管理の改善、人間と機械の役割分担の改善等を検討する必要がある。

 

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