第II部 国土交通行政の動向 

第1節 地域再生・都市再生に向けた取組み

 近年における急速な少子高齢化の進展、産業構造の変化等の社会経済情勢の変化により、地域経済の衰退や地域における雇用の悪化等、地域を取り巻く状況は厳しさを増している。そのため、地域の創意工夫を凝らした自主的・自立的な取組みを国が支援し、地域の活力の再生を図ることが喫緊の課題となっている。また、都市部においては、慢性的な交通渋滞等の都市生活に過重な負担を強いている「20世紀の負の遺産」ともいうべき課題を抱える一方、バリアフリー化(注)等の新たな課題が顕在化している。こうした課題を解決し、都市の魅力と国際競争力を高めるためには、集中的な施策の投入による基盤整備や民間ノウハウを存分に発揮できる環境づくりが重要となっている。
 こうした状況の下、地域再生については、平成15年10月、内閣に地域再生本部が設置され、16年2月の「地域再生推進のためのプログラム」に基づき、地域再生計画の認定や各種支援を行ってきたが、17年3月に「地域再生基盤強化交付金」の創設等地域再生を更に後押しする施策を定めた「地域再生法」が成立した。同年4月には同法に基づく「地域再生基本方針」が閣議決定され、新たな認定制度の下、国土交通省関係として6月(地域再生基盤強化交付金を活用しないものについては7月)に368件、11月に89件の地域再生計画を認定した。
 都市再生については、平成13年5月、内閣に都市再生本部が設置され、これまでに、1)国際空港や環状道路の整備、防犯対策等とまちづくりの連携協働による都市の安全・安心の再構築等の20の都市再生プロジェクトの推進、2)「都市再生特別措置法」に基づく民間都市再生の推進、3)全国都市再生モデル調査やまちづくり交付金等を活用した全国都市再生の推進に取り組んでいる。
 国土交通省では、平成17年度に、地方公共団体が行うまちづくり交付金事業と連携して行われ、都市再生に資する優良な民間都市開発事業(国土交通大臣認定)の立ち上げを支援するため、金融支援や税制上の特例措置を創設するとともに、まちづくり交付金による支援措置の拡充等により、意欲的な地域の取組みへの支援を行っている。


(注) 高齢者・障害者等が社会生活をしていく上で障壁(バリア)となるものを除去(フリー)すること。物理的、社会的、制度的、心理的な障壁、情報面での障壁を除去するという考え方

 

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