第II部 国土交通行政の動向 

第1節 ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー化の実現

(1)ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー施策の推進

 建築物や公共施設、公共交通機関のバリアフリー化(注)については、平成6年に制定された「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)」及び12年に制定された「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法)」等により、これまでに、段差の解消や視覚障害者誘導用ブロックの設置など、着実に整備が進んでいる。
 交通バリアフリー法は、平成17年11月以降に見直しを行うこととされているが、今後のバリアフリー施策を検討するに当たっては、ユニバーサルデザインという考え方に基づき、個々の施設が備えるべき基準のあり方や建築物と公共交通機関相互の連携、施設整備等のハード面のみならず人的介助等のソフト面も含めた施策の検討等が必要である。このため、16年10月から有識者や障害者団体等で構成される「ユニバーサルデザインの考え方に基づくバリアフリーのあり方を考える懇談会」において、幅広い観点から議論を行い、17年5月に報告を取りまとめた。
 さらに、懇談会の報告、有識者ヒアリング及び広範な意見募集を踏まえつつ、これまでのバリアフリー施策の総点検を行い、平成17年7月に策定した「ユニバーサルデザイン政策大綱」に基づき、バリアフリー施策を推進していく。
 その一環として、公共交通機関や建築物等のバリアフリー化、一定の地域内におけるこれらの施設等及びこれらの間の経路の一体的・連続的なバリアフリー化を促進し、バリアフリー施策を総合的に展開するため、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律案」を第164回国会に提出した。


(注)高齢者・障害者等が社会生活をしていく上で障壁(バリア)となるものを除去(フリー)すること。物理的、社会的、制度的、心理的な障壁、情報面での障壁を除去するという考え方

 

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