第II部 国土交通行政の動向 

(3)良質な持家取得の促進

1)住宅金融
 住宅金融公庫は、これまで国民の住宅取得を支援するため、長期・固定・低利の資金の融資を公平かつ安定的に供給してきた。また、居住水準の向上や耐久性、省エネルギー性能を備え、バリアフリー化された良質な住宅ストックの形成の上でも、公庫融資は一定の役割を果たしてきた。
 特殊法人改革の一環として、平成15年10月より、民間金融機関による長期・固定金利の住宅ローンの供給を支援する買取型の証券化支援事業を開始した。17年4月には、同事業の対象となる住宅の床面積上限を廃止し、同年6月には技術基準の大部分について「住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保法)」に基づく住宅性能表示基準と整合を図るなどの措置を行っている。同年12月現在、274の金融機関が参加し、事業開始からの実績は、買取申請戸数65,699戸、買取戸数39,250戸となっている。また、16年10月からは公庫の住宅融資保険がかけられた長期・固定金利の住宅ローンを担保として、民間金融機関が発行する債券等に対して公庫が元利払い保証を行う保証型の証券化支援事業も開始した。この対象となる住宅については、耐久性等の技術基準を定め、物件検査を行うことにより住宅の質の確保を図っている。さらに、17年度は、省エネルギー等の性能が特に高い住宅について、金利優遇を行う優良住宅取得支援制度を実施している。
 こうした状況の中、特殊法人等整理合理化計画等に基づき公庫を廃止し、平成19年4月に証券化支援業務を主業務とする独立行政法人住宅金融支援機構を設立するための「独立行政法人住宅金融支援機構法」が17年6月に成立した。なお、同機構の融資業務は、民間では対応が困難な災害関連、都市居住再生関連等に限定することとしているが、個人向け融資については、民間金融機関が円滑に業務を行っているかどうかを勘案して、独立行政法人設立の際に最終決定することとなっている。

 
図表II-4-4-6 証券化支援事業(買取型・保証型)スキーム図

住宅金融公庫が行う住宅ローンの証券化支援業務には、民間金融機関が貸し出した長期・固定金利の住宅ローンについて、公庫がこれを買い取り、信託した上で債券の発行を行う買取型と、公庫の住宅融資保険が付保された長期・固定金利の住宅ローンを担保として、民間金融機関が発行する債券等に対して、公庫が元利払い保証を行う保証型がある。買取型は平成15年度より、保証型は平成16年度より開始している。

2)住宅税制の充実
(ア)住宅及び事業用建築物に係る耐震改修促進税制の創設
 災害に強い国づくりを促進する観点から、昭和56年以前に建築された住宅について、いわゆる新耐震基準(宮城県沖地震後の56年に改正された「建築基準法」に基づく耐震設計基準)に適合させるための耐震改修を行った場合には、以下の特例措置を講ずることとしている。
 1)平成18年4月1日から20年12月31日までの間、一定の区域内で行われる耐震改修について、耐震改修費用の10%相当額(最大20万円)を所得税額から控除
 2)平成18年1月1日から27年12月31日までの間に行われる耐震改修について、耐震改修を行った住宅の固定資産税額(120m2相当部分まで)を最大3年間2分の1に減額(耐震改修工事費が30万円以上のものに限る)
 また、青色申告書を提出する事業者が、平成18年4月1日から20年3月31日までに、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」の認定計画に基づく特定建築物の耐震改修を行う場合において、その工事に伴って取得等をする建物部分について10%の特別償却ができる措置を講ずることとしている。
(イ)三位一体改革による税源移譲に伴う住宅ローン減税効果の確保に関する措置
 三位一体改革の税源移譲に伴い、住宅ローン減税により控除される税額が減少する者については、税源移譲の前後で税負担の変動が生ずることのないよう、平成18年までに入居した者に係る20年度以降の個人住民税において、所要の減額措置を講ずることとしている。

 

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