第II部 国土交通行政の動向 

(2)公共交通の利用円滑化に向けた取組み

 公共交通は、地域内外の交流拡大による地域再生・都市再生、少子高齢化、環境対策といった、我が国の抱える主要な課題を同時に解決し得る有効な手段であるが、一方で、関係者の考え方や利害が複雑に絡み合うこと等により、地域における取組みだけでは、公共交通の活性化はなかなか進まない状況にある。
 こうした状況を打破するため、国土交通省では、公共交通サービスの改善に資する個別プロジェクトの実現に向け、地方運輸局が中心となって、地方公共団体や交通事業者等と共に検討を行い、具体的方策とその実施のための役割分担等について定める「公共交通活性化総合プログラム」の策定を推進し、地域における公共交通の活性化の取組みを後押ししている。具体的には、鉄道・バス等複数の交通事業者間における共通カードやICカード等の導入、ターミナル駅の乗継利便性向上策の一体的推進、パークアンドライドのための高速道路上の高速バス停留所の設置及び駐車場の整備等、各地域において様々なプログラムを策定中である。また、平成17年度からは、地域住民等利用者が主体的に地域の公共交通を支えようとする取組みに対する重点支援、まちづくり交付金との連携等を実施している。
 さらに、有識者・行政関係者からなる「公共交通の利用円滑化に関する懇談会」を開催し、シームレス(注)な公共交通の実現、地域における関係者の合意形成を促進するための環境整備、利用者・地域住民等の多様な主体が地域公共交通の維持・改善へ積極的に参加できるような仕組みづくり等について検討を行い、平成17年5月に報告を取りまとめ、この報告の内容を同年7月に策定された「ユニバーサルデザイン政策大綱」に反映させるなど、公共交通の利用円滑化に向けて積極的に取り組んでいる。


(注)「継ぎ目のない」の意味。公共交通分野におけるシームレス化とは、乗継ぎ等の交通機関間の「継ぎ目」や交通ターミナル内の歩行や乗降に際しての「継ぎ目」をハード・ソフト両面にわたって解消することにより、出発地から目的地までの移動を全体として円滑かつ利便性の高いものとすること。具体的には、乗継情報の提供、同一ホームによる乗換え、相互直通運転化、接続ダイヤの設定、乗継運賃割引の拡大、共通ICカードの導入等

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む