第II部 国土交通行政の動向 

(3)都市鉄道ネットワークの充実

 都市鉄道ネットワークは、これまで新線建設・複々線化といった輸送力増強や混雑緩和を主眼に進められてきた結果、相当程度拡充されてきた。大都市圏における鉄道の通勤・通学時の混雑は、個別路線ごとに見ると二極分化が進んでいるが、全体としては低下傾向にある。一方、他の鉄道事業者の路線との接続の不備、混雑時間帯における速度の低下、駅とその周辺との一体的な整備の欠如といった「質」の面における課題がなお見られるとともに、近年の輸送需要の頭打ちにより投資が抑制される傾向にあり、さらに、市街地の熟成により関係者の利害調整が困難となっている。このような状況において、既存ストックを有効活用しつつ速達性の向上及び交通結節機能の高度化を図るため、平成17年5月に「都市鉄道等利便増進法」が成立した。今後、この法律を活用して都市鉄道利便増進事業を円滑に実施し利用者利便を増進するとともに、乗継円滑化事業により鉄道路線間や鉄道とバス間の乗継負担の軽減等を進めるなど、都市鉄道ネットワークを一層充実させていくこととしている。

 
図表II-4-6-2 三大都市圏の最混雑区間における平均混雑率・輸送力・輸送人員の推移

平成16年度の平均混雑率は、東京圏で171%、大阪圏で134%、名古屋圏で147%であり、昭和50年度以降低下傾向にある。輸送力は東京圏で163%、大阪圏で131%、名古屋圏で155%であり、平成7年度以降は微増、ないし横ばい傾向にあるが、昭和50年度から平成16年度までで見れば上昇傾向にある。輸送人員は東京圏で127%、大阪圏で89%、名古屋圏で111%であり、平成2年を境に低下傾向にある。
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図表II-4-6-3 整備中の主な都市鉄道新線

仙台市東西線、名古屋市6号線、大阪外環状鉄道大阪外環状線等の整備が行われている。
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図表II-4-6-4 都市鉄道利便増進事業の概要

既存の都市鉄道施設の間を連絡する新線の整備等により目的地に到達するまでに要する時間の短縮を図り、また、駅内外の一体的整備により、駅施設における乗り継ぎに要する時間の短縮その他の駅施設の利用円滑化を図り、もって都市鉄道の利用者の利便を増進する。

 

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