第II部 国土交通行政の動向 

(4)都市型水害対策

1)流域一体となった総合的な治水対策の推進
 都市部の河川においては、これまで総合的な治水対策として河川改修、流域対策及び被害軽減対策を関係機関と連携しながら一体的に行ってきた。
 平成16年に新たに施行された「特定都市河川浸水被害対策法」では、河川管理者、下水道管理者及び地方公共団体が共同して流域水害対策を講じる新たな枠組みも構築された。18年1月末現在、鶴見川(神奈川県)、新川(愛知県)の2河川を特定都市河川に指定している。

 
図表II-6-1-9 特定都市河川浸水被害対策法の概要

特定都市河川浸水被害対策法に基づき、特定都市河川及び特定都市河川流域を指定し、河川管理者、下水道管理者及び地方公共団体が共同して流域水害対策計画を策定している。また、河川管理者によるうすい貯留浸透施設の整備のほか、都市洪水想定区域・都市浸水想定区域の指定、うすい浸透阻害行為に対するうすい貯留浸透施設設置の義務付け等により、都市における浸水被害の軽減を図っている。

2)流域貯留浸透事業の推進
 流域における雨水の流出抑制対策が必要とされる都市部において、降雨をできるだけ貯留又は地下に浸透させることにより、集中豪雨時における都市水害等の軽減を図るため、各戸貯留浸透施設等の整備を行う流域貯留浸透事業を推進している。なお、平成17年度より、総合流域防災事業において実施している。

 
図表II-6-1-10 各戸貯留浸透施設のイメージ

個人の宅地内のうすいますに貯留浸透機能を付加し、雨水の流出量を低減することにより、集中豪雨時における都市水害等の軽減を図っている。

3)下水道整備による都市の浸水対策の推進
 近年、下水道の整備計画を超える集中豪雨によって人命や都市機能に大きな被害が発生している。このため、「下水道政策研究委員会浸水対策小委員会」の提言を踏まえて、地区と期限を設定した重点的な施設整備の実施に加え、効果的に自助を促進するためのソフト対策の強化等、緊急的かつ効率的に被害の最小化を目指したハード・ソフト一体の総合的な浸水対策を推進している。

4)水辺都市再生の推進
 流域に人口・資産等が高密度に集積している荒川(東京都)、淀川(大阪府)等の大河川において、整備計画を上回る洪水による壊滅的被害から大都市圏を防御する高規格堤防(スーパー堤防)をまちづくりと連携しつつ一体的に整備し、河川空間を生かした水と緑の潤いのある水辺都市の再生を図っている。

 
図表II-6-1-11 スーパー堤防の概念図

スーパー堤防は、堤防の高さの約30倍程度の幅があり、堤防上では、通常の土地利用ができる。

 

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