第II部 国土交通行政の動向 

第3節 豊かで美しい自然環境を保全・再生する国土づくり

1 豊かな河川環境の形成

(1)良好な河川環境の保全・形成

1)多自然型川づくり、自然再生の推進
 河川整備に当たっては、多自然型川づくりを基本とし、必要とされる治水上の安全性を確保しつつ、生物の良好な生息・生育環境をできるだけ改変せず、仮に改変せざるを得ない場合でも最低限にとどめることとして、良好な河川環境の保全に努めている。さらに、多様な自然環境を有する本来の川の姿に戻すため、礫(れき)河原の復元や湿地の再生等を行う自然再生事業を釧路川、荒川等全国25箇所において推進している。

 
干潟再生(鵡川(北海道))



2)外来生物対策の推進
 生物多様性を保全する上で大きな脅威の一つとなっている外来種は、全国の河川における生息域が拡大しており、各地で生態系への影響等が問題となっている。このため、生態学の専門家等で構成される外来種影響・対策研究会を開催して検討を重ね、全国の取組事例をまとめた「河川における外来種対策の考え方とその事例」や「河川の外来種図鑑」を発行し、各地で取り組んでいる外来種対策に役立てている。
 以上の施策を進めるには、河川工学や水質のみならず、生物学や生態学等の専門家と連携して、河川の物理的環境と生物の生息・生育環境との相互関係等、未解明の部分を明らかにすることが重要なため、河川水辺の国勢調査を始めとした様々な調査を行うとともに、河川生態学術研究会及び世界最大級(延長約800m)の実験水路3本を有する自然共生研究センターでの取組み等、学識経験者や各種機関と連携して様々な研究が行われている。

 

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