第II部 国土交通行政の動向 

コラム・事例 コウノトリと人が共生する環境の再生を目指して 〜円山川水系の自然再生〜

 兵庫県北部の豊岡盆地では、コウノトリを始めとする生き物たちと人々が共生していましたが、利便性・効率性を求める時代の波とともにこうした暮らしが次第に失われ、生息の場を失った野生のコウノトリは昭和46年に姿を消しました。しかし、特別天然記念物のコウノトリは、昭和40年から人工飼育による種の保存を始め、野生復帰に向けて地域をあげた長年にわたる努力が続けられた結果、飼育数は順調に増え、野生復帰のための環境も次第に整ってきました。そして、野生復帰への第一歩として試験放鳥が行われることになり、平成17年9月24日、秋篠宮同妃両殿下をお迎えして放鳥式典が行われ、約3,500人が見守る中、ついに5羽のコウノトリが豊岡の大空を舞いました。

 
円山川
 
コウノトリ放鳥式典

 平成16年10月の台風第23号による豪雨は、豊岡盆地を流れる円山川下流域で浸水家屋11,874世帯、浸水面積4,083haに達する甚大な被害を発生させました。このような状況を踏まえ、平成17年11月に「円山川水系自然再生計画」を策定し、治水対策と自然再生が両立できるように工夫され、湿地が保全・再生される治水対策が重点的に実施されています。
 今後とも、地域住民と連携して、コウノトリを始めとする多様な生き物たちと人々が共生する河川環境の再生を目指した取組みを進めていきます。

 

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