第II部 国土交通行政の動向 

第1節 国際的な連携・協調メカニズムの構築とイニシアティブの発揮

(1)東アジア地域における連携強化

 我が国では政府全体として東アジア地域との連携強化に取り組んでいる。2005年(平成17年)12月、マレーシアで開催された東アジア首脳会議にて「クアラルンプール宣言」が採択され、政治・安保、経済、社会・文化の幅広い領域で対話と協力を促進していくことを確認した。また、経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)の締結に向けて、各国と政府間交渉を行っている。
 交通分野においては、2005年(平成17年)11月にラオスにおいて第3回日・ASEAN交通大臣会合を開催し、我が国はラオスと共同議長を務めた。この会合では、ASEAN地域の貿易・投資活動の基盤となる物流分野の改善の方向性を取りまとめた「日ASEAN物流改善計画」と、域内の航空需要増大に対応するための次世代航空保安システムの導入促進を目的とした「ASEAN次世代航空保安システム整備共通行動計画」を採択し、更なる交通連携の推進を確認した。また、同年5月には第2回日中運輸ハイレベル協議を開催して日中間の物流円滑化等について意見交換を行い、外航貨物利用運送事業(NVOCC)に関する相互参入を確認した。さらに、東アジア地域の国際物流の重要性等にかんがみ、「物流に関する日中韓交通大臣会合(仮称)」や「ASEAN +3交通大臣会合」の開催を目指している。
 建設分野では、フィリピン、マレーシアとはEPA締結交渉の機会を活用して、マニラで日比建設産業会議を、クアラルンプールで日マレーシア建設業交流会議を開催したほか、有望な市場と期待されるインド等においても、日印建設交流会議等を開催した。今後とも、東アジア諸国の建設関連省庁及び建設業と将来の協働関係構築を目指して、こうした取組みを推進していく。
 海洋環境管理については、東アジア12ヶ国による東アジア海域環境管理パートナーシップ(PEMSEA)に参画しており、東アジア海域の持続可能な開発戦略(SDS-SEA)の実施に向けた取組みを進めている。また、日本海及び黄海の海洋環境の保全を目的とした日本・中国・韓国・ロシア間の行動計画である北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)に基づいた取組みを推進しており、2004年度(平成16年度)に本部事務所が富山と釜山(韓国)に開設されたことから、今後は一層の体制強化及び活動の発展を図っていく。

 

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