第II部 国土交通行政の動向 

第1節 技術研究開発の推進

1 総合的な技術研究開発の推進

 技術研究開発の実施に当たっては、国土交通本省各局、研究機関、地方整備局及び北海道開発局において、産学官の連携体制の一層の充実を図りつつ、分野横断的・総合的な技術研究開発を推進するとともに、その成果を公共事業及び建設・交通産業へ積極的に反映している。
 平成15年11月に、国土交通省の技術研究開発の方向性を明らかにするため、第2期科学技術基本計画を踏まえ、社会資本整備重点計画とも整合をとりつつ、15年度から19年度までの5年間を計画期間とする「国土交通省技術基本計画」を策定した。本計画では、利用者である国民の視点を重視し、国民の暮らしに関わる5つの目標を技術研究開発戦略として掲げ、これらの目標を具体化するために10テーマを重点プロジェクトとして位置付けている。
 平成17年度は、総合科学技術会議における第3期科学技術基本計画(18年度〜22年度)の検討に合わせ、国土交通技術会議に続き、6月以降、社会資本整備審議会・交通政策審議会技術部会において今後の科学技術について検討を行った。検討の結果、4月に国土交通技術会議において様々な要素技術を組み合わせ・統合し、高度化することにより、社会的な課題を解決し、国民の暮らしへ還元する「社会的技術」を重視すべきとする「提言」が、12月に技術部会において“新たな社会基盤”の構築のため、重点的に取り組むべき研究開発を示す「提言」が取りまとめられた。これを踏まえ、関連部局が一体となり、暮らしの課題の解決を目指し、技術研究開発の重点化を図っている。

 
図表II-10-1-1 国土交通省技術基本計画の概要

国土交通省技術基本計画の暮らしに関わるいつつの目標は、(1)安全で不安のない暮らしの実現、(2)良好な環境を取り戻し美しく持続可能な国土の形成、(3)快適で生活コストの安い暮らしの実現、(4)国際競争力を高め活力ある社会の実現、(5)誰もが社会の一員であることを実感できる社会の実現である。目標を具体化する10テーマの重点プロジェクトは、(1)東海、東南かい・南海地震を中心とした地震災害対策の強化、(2)陸・海・空の事故防止。削減のための総合的技術の開発、(3)地球にやさしい低公害交通機関等の開発、(4)自然共生型国土基盤整備技術の開発、(5)循環型社会を構築する技術の開発、(6)地球規模の環境変動再現データベースの構築と地球温暖化メカニズムの解明、(7)安全で低コストな大深度地下利用を可能にする技術の開発、(8)建設ロボット等による自動化技術の開発、(9)非破壊検査等による社会資本の健全度評価技術の開発、(10)宇宙・海洋などのフロンティア分野の開拓である。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む