第II部 国土交通行政の動向 

コラム・事例 ローカル線の再生に向けた地域のチャレンジ!〜DMVの試験的営業運行〜

 現在、全国のいわゆるローカル線では、マイカーの普及や少子高齢化の進展等により乗客の減少が進行しており、ワンマン運転化や駅業務の外注化等のこれまでどおりの事業者の経営努力のみでは、維持が難しくなっている路線もあります。このような中、地方鉄道での活用を目標として新しい発想で開発が進められている車両がデュアル・モード・ビークル(DMV)です。
 DMVは、線路と道路の両方を走行することができる新しいタイプの乗りものとして、現在、JR北海道において開発が進められており、平成19年4月から、同社の釧網本線浜小清水駅〜藻琴駅間(11.4km)で試験的な営業運行が開始されます。現在試験走行が繰り返されている試作車両は、マイクロバスを改造したもので、線路上では車体に格納してある鉄車輪を下ろして線路走行のガイド輪とし、後ろのタイヤを線路上で駆動させて走行する一方、道路の上では通常のバスと同様、タイヤの動力のみで走行します。
 DMVは、鉄道とバスの乗換えを不要とするシームレスな輸送ができることに加え、マイクロバスをベースとしているため、従来の鉄道車両に比べて小型・軽量であり、車両の購入費や燃費等が低廉であること(JR北海道の試算によれば、車両の購入費は約1/7、燃費は約1/4)等の特性があり、実用化されれば、地方鉄道の維持・充実に活用できるものとして期待されています。しかし、本格的な実用化のためには、現状の鉄道設備では線路上での車両の位置検知が不確実であるなど技術面等での課題が残されており、国土交通省では、JR北海道と密接に連携しながら解決に向けた取組みを進めています。今回の試験的営業運行に際しても、各種走行試験の結果や学識経験者等の助言を踏まえてガイドラインを作成し、運行の安全確保に万全を期しています。
 JR北海道での開発が進むにつれ、北海道以外の地域でもDMVの導入の可能性について検討がなされるなど、全国的に注目が高まっています。国土交通省では、今回の試験運行の成果を将来の実用化や全国への普及のために有効に活用していくこととしています。
 


DMVの試験走行の様子
 


道路から線路へのモードチェンジの様子

 

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