第1節 国土・社会資本の将来ビジョンの策定・推進 

第II部 国土交通行政の動向

第1章 時代の要請にこたえた国土交通行政の展開

第1節 国土・社会資本の将来ビジョンの策定・推進

1 国土計画の推進

 国土の自然的条件を考慮し、経済、社会、文化等に関する施策の総合的見地から、国土の利用、整備及び保全を推進するため、国土形成計画(注1)及び国土利用計画(注2)を策定・推進することにより、国民が安心して豊かな生活を営むことができる経済社会の実現を図っている。

(1)国土形成計画の策定・推進
 国土形成計画は、従来の開発型計画から成熟社会型計画へ転換を図るとともに、全国計画と広域地方計画の2層の計画体系による分権型の計画となっている。
 国土形成計画(全国計画)は、総合的な国土の形成に関する施策の指針として、平成20年7月に閣議決定された。全国計画では、「多様な広域ブロックが自立的に発展する国土を構築するとともに、美しく暮らしやすい国土の形成」を新しい国土像として掲げ、その実現のため、1)東アジアとの円滑な交流・連携、2)持続可能な地域の形成、3)災害に強いしなやかな国土の形成、4)美しい国土の管理と継承、5)「新たな公」を基軸とする地域づくりの5つを戦略的目標とし、多様な主体の協働により、効果的に計画の推進を図ることとしている。
 国土形成計画(広域地方計画)は、東北圏、首都圏、北陸圏、中部圏、近畿圏、中国圏、四国圏及び九州圏の8つの圏域ごとに、地域の特性を活かした独自性の高い計画を定めるものである。今後、国の関係地方支分部局、都府県、政令指定都市、経済団体等からなる広域地方計画協議会の協議を経て策定することとしている。

(2)国土利用計画の推進
 第四次国土利用計画(全国計画)については、より良い状態で国土を次世代に引き継ぐ「持続可能な国土管理」を行うことを基本方針として、土地需要の量的な調整、国土利用の質的向上、さらに、これらを含めた国土利用の総合的なマネジメントを進めること等を掲げ、国土形成計画(全国計画)と一体的に策定された。今後、国土利用計画(全国計画)の推進を図るとともに、これを基本とする国土利用計画(都道府県計画)及び国土利用計画(市町村計画)の円滑な策定・推進のために必要な措置を講じることとしている。

(3)国土計画の推進のための調整機能の充実
 国土計画に基づく事業等の推進及び事業間の総合調整や連携等を円滑に進めるため、国土形成事業調整費等により機動的な支援を行っている。また、地域発意による広域施策の構想の具体化等を進めるため、広域ブロック自立施策等推進調査費により調査を行っている。


(注1)国土形成計画法に基づく国土形成計画(全国計画)及び国土形成計画(広域地方計画)
(注2)国土利用計画法に基づく国土利用計画(全国計画)、国土利用計画(都道府県計画)及び国土利用計画(市町村計画)

 

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