第5節 効率性・競争性を重視した施策展開 

2 公共工事の品質確保や入札契約の適正化

(1)公共工事の品質確保の促進
 「公共工事の品質確保の促進に関する法律(公共工事品確法)」を踏まえ、国土交通省では、公共工事の更なる品質確保を図るため、原則全ての工事において総合評価方式(注1)を実施するとともに、建設コンサルタント業務等における総合評価方式を本格導入した。
 品質確保への支障、下請へのしわ寄せ等が懸念されるダンピング受注に対しては、落札率85%未満になると下請企業が赤字又は工事成績が平均点未満となる工事が急増するという実態を踏まえ、低入札価格調査基準価格の改正を行った。また、施工体制確認型総合評価方式や特別重点調査等の対象範囲の拡大を図り、こうした対策の結果、低入札価格調査の対象件数が大きく減少している。さらに、設計者から施工者への設計思想の伝達等による受発注者間の情報共有の推進や、施工プロセス全体を通じて工事実施状況等の確認を行い、これを検査に反映させる「施工プロセスを通じた検査」の試行を拡大した。
 地方公共団体においては、都道府県、政令指定都市を中心に総合評価方式の導入が進みつつあるが、未だ不十分な状況である。地方公共団体に対して、総合評価方式の実施目標とその達成状況の公表の促進、簡易な総合評価実施マニュアルの活用等について要請を行い、総合評価方式の導入を推進するとともに、あわせて、予定価格や低入札価格調査基準価格等の適切な見直しの促進等について要請を行い、ダンピング受注の排除徹底を推進している。

(2)入札契約の適性化
 入札契約制度の一層の改善を図るため、国、地方公共団体等において、一般競争入札の拡大及び総合評価方式の拡充、一般競争入札の拡大に向けた条件整備としての入札ボンド(注2)の活用、設計・施工一括発注方式やCM方式(注3)等の多様な発注方式の活用を推進している。
 国土交通省では、一般競争入札の対象工事を予定価格7.3億円以上から段階的に拡大しており、平成20年度には6千万円以上の工事を対象とすることとした。また、多様な発注方式として、引き続き設計・施工一括発注方式やCM方式等の試行を行った。地方公共団体に対しては、適正価格での契約を推進する観点から、予定価格の事前公表の取りやめ、資材等の最新の実勢価格の予定価格への適切な反映等について要請を行った。また、地方公共団体と連携し直轄事業の入札ボンドの対象拡大を図るとともに、制度の一層の普及のため、CM方式の契約のあり方に係る検討、入札ボンドの電子化を検討している。


(注1)技術提案に基づき、価格に加え価格以外の要素も総合的に評価して落札者を決定する方式
(注2)入札参加者に対して、金融機関等による審査・与信を経て発行される契約保証の予約的機能を有する証書の提出を求める制度
(注3)コンストラクション・マネジメント方式。コンストラクションマネージャー(CMR)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計・発注・施工の各段階において、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、コスト管理等の各種のマネジメント業務の全部又は一部を行う方式

 

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