第2節 地域活性化を支える施策の推進 

6 地域の移動手段の確保

(1)地域の生活を支える公共交通の活性化
 地域公共交通は経済社会活動の基盤であり、住民の移動手段の確保、地域活性化、環境問題等へ的確に対応するためにも、その活性化・再生は喫緊の課題となっている。こうした状況を踏まえ、平成19年10月には「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」が施行され、20年度予算においては、同法律を活用し、鉄道、コミュニティバス・乗合タクシー、旅客船等の多様な事業に創意工夫をもって取り組む協議会に対し、パッケージで一括支援する新たな支援制度「地域公共交通活性化・再生総合事業」が創設された。20年度は、調査事業(連携計画(注1)策定のための調査等)168件、計画事業(連携計画に位置づけられた事業を実施する事業)81件、合計249件の認定を行った。
 
図表II-3-2-6 「地域公共交通活性化・再生総合事業」の事業例

図表II-3-2-6 「地域公共交通活性化・再生総合事業」の事業例

(2)地方鉄道の活性化等
 地方鉄道(注2)は、地域における住民の足として、また、地域経済の発展のために重要な役割を果たしているが、その経営は極めて厳しいものとなっている。このため、地方鉄道事業者が行う経営構造改善(経費節減、サービス改善)や安全性の向上等のために必要な設備投資に対して輸送高度化補助や税制上の特例措置により支援をしている。特に、輸送高度化補助では、計画安全事業(注3)及び鉄道事業再構築事業(注4)を行う場合には、補助率を嵩上げして重点的に支援することとしている。

(3)地方バス路線への補助
 地域住民、特に自らの交通手段を持たない高齢者や学童等の移動制約者にとって必要不可欠な公共交通機関である乗合バスの路線維持・確保は、重要な課題となっている。このため、国と地方の役割分担の下、国は生活交通路線(注5)に重点化して、維持対策費の補助を行っている。それ以外の路線については、地方公共団体の判断により維持を図ることとし、所要の財政措置が講じられている。

(4)離島との交通への支援
 離島航空路については、離島の航空輸送の確保を図るため、離島に就航する航空運送事業者に対して、機体購入費補助、運航費補助、衛星航法補強システム(MSAS)、受信機購入費補助、着陸料の軽減、航空機燃料税及び固定資産税についての軽減措置を実施している。離島航路については、「離島航路整備法」に基づく離島航路を維持するための補助、固定資産税の軽減措置及び離島地域の観光振興による交流拡大への支援、離島航路運航高度化対策事業、離島における就航率向上等のための港湾整備を実施している。また、離島航路関係者の意見を踏まえた離島航路補助制度改善検討会を開催し、「中間とりまとめ」を行った。なお、平成19年度の離島路線の数は60路線、離島航路数は、19年度末現在で306航路(うち国庫補助航路121航路)となっている。


(注1)「地域公共交通活性化及び再生に関する法律」に基づく、地域公共交通の活性化及び再生を総合的かつ一体的に推進するための計画(「地域公共交通総合連携計画」)
(注2)「中小民鉄」、「転換鉄道」(旧国鉄のローカル線から第三セクター等で引き継がれた鉄道)、「地方鉄道新線」(国鉄時代の工事凍結路線のうち、工事が再開され、開業後第三セクターが経営を引き継いだ鉄道)、「並行在来線」(整備新幹線の開業により、JR会社から分離された新幹線と並行して走行する在来線)の4者を指す。
(注3)老朽化した施設等について第三者機関が行う客観的評価の結果を踏まえ、地方運輸局に提出された「総合安全対策計画」に基づき行われる設備整備事業
(注4)「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づき、鉄道事業者と自治体とが連携して策定した、公有民営等事業構造の変更を盛り込んだ「鉄道事業再構築実施計画」に基づき行われる設備整備事業
(注5)地域協議会で維持・確保が必要と認められ、国が定める基準(複数市町村にまたがり、キロ程(バス路線の起点から終点までの距離)が10km以上、1日の運行回数が3回以上等)に該当する広域的・幹線的なバス路線

 

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