第1節 豊かな住生活の実現 

2 良好な宅地の供給及び活用

(1)地価の動向
 平成20年1月1日時点の地価公示によると、19年1月以降の1年間の地価は全国平均で住宅地及び商業地ともに上昇し、長期的に見ると、バブル崩壊後の長期下落基調を経て、近年、持ち直し傾向が見られた。しかし、17年頃から持ち直し傾向が見られた主要都市の地価は、19年後半以降陰りが見られ、「主要都市の高度利用地地価動向報告」(地価LOOKレポート)により、19年10月から20年10月までの地価動向を見ると、足元に近づくほど、上昇傾向の鈍化から下落傾向へと顕著に推移している。

(2)宅地供給の現状と課題
 人口・世帯減少社会に対応するため、新規宅地の大量供給を積極的に支援する従来の施策から、地域特性に応じた良好な居住環境を備えた宅地供給が図られるよう、都市再生機構のニュータウン事業では既に着手済みの事業のみを行い、住宅市街地基盤整備事業(注1)では、住環境の改善や街なか居住等に資するものに重点を置き実施している。また、税制の特例や農住組合制度(注2)等により、農地を活用した良好な居住環境を備えた宅地の供給を促進している。
(3)定期借地権の活用
 借地契約の更新が無く、定められた契約期間で確定的に借地契約が終了する定期借地権は、良好な住宅取得を低廉な負担で実現する上で有効な制度であり、定期借地権付住宅は、平成19年末までに63,000戸以上が供給されている。ここ数年は供給戸数が減少傾向にあったが、19年においては、回復に転じた。なお、同制度の円滑な普及に向けた条件整備として、保証金、権利金に次ぐ第三の一時金方式である前払賃料方式の税務上の取扱いの明確化等を行っている。
 
図表II-4-1-5 定期借地権付住宅供給の推移

図表II-4-1-5 定期借地権付住宅供給の推移
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(4)ニュータウンの再生
 計画開発住宅市街地、いわゆるニュータウンにおける住宅や施設の老朽化、居住者の高齢化や小世帯化に伴って生じる機能更新等の課題に対応し、計画開発住宅市街地を良好なストックとして引き続き活用する必要がある。平成20年度は計画開発住宅市街地を中心にエリアマネジメントに取り組む団体に対し、モデル的な支援を行っている。


(注1)住宅宅地供給に関連する道路、河川、都市公園等の整備を行う事業
(注2)市街化区域農地の所有者が、当面営農の継続を図りながら、その農地を円滑に住宅地等に転換するために設けられる。

 

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