第4節 産業の活性化 

コラム トン数標準税制

 安定的な海上輸送の確保の観点からは、我が国の外航船舶運航事業者の国際的な競争力を確保しつつ日本船舶・日本人船員の計画的増加を図ることが極めて重要な課題となっています。このような状況を受け、平成20年度に海上運送法等が改正されるとともに、外航海運に対する課税の特例であるトン数標準税制が導入されました。トン数標準税制の適用を受けるためには、事業者は、国土交通大臣の策定した「日本船舶及び船員の確保に関する基本方針(以下「基本方針」)」に適合するよう「日本船舶・船員確保計画(以下「計画」)」を作成し、国土交通大臣の認定を受ける必要があります。
 具体的には、ア)所有・運航する日本船舶を計画期間内に2倍以上に増加、イ)日本人船員の養成、ウ)日本船舶1隻当たり4人を配乗できる日本人船員を常時確保しておくこと等の基準を満たす必要があります。認定を受けた事業者は、1)日本船舶を用いた対外船舶運航事業等による収入金額に係る所得の金額と、2)日本船舶の運航トン数に応じた所得の金額を算出し、1)が2)を超えるときは、その超える部分の金額を損金の額に算入し(下図参照)、1)が2)に満たないときは、その満たない部分の金額を益金の額に算入するとの所得計算の特例措置を選択することができます。一方、事業者が計画通りに日本船舶・日本人船員を増加・確保しなかった場合、認定が取り消され、それに伴い過去に本特例措置により損金に算入された金額の合計額が課税されます。このように日本船舶の所有・運航が多いほど損金算入できる金額が増加することから事業者に対して日本船舶を増加させるインセンティブとなるとともに、着実な計画の実施を担保する制度となっています。
 
税額計算の模式図

 国土交通省では、基本方針において、外航日本船舶を今後5年間で2倍程度に、外航日本人船員(海技者)を今後10年間で1.5倍程度にするという目標を掲げ、日本船舶・日本人船員の計画的増加を促進しております。21年3月までに、外航船舶運航事業者10社に対して認定がなされました。なお、「計画」の申請は22年1月31日までとなっています。

 

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