第4節 交通分野における安全対策の強化 

2 鉄軌道交通における安全対策

 鉄軌道交通における運転事故件数は、踏切事故防止対策の推進、自動列車停止装置(ATS)の保安設備の整備や改良対策を着実に実施してきた結果、長期的には減少傾向(注)にあるが、近年、ほぼ横ばいで推移している。
 
図表II-6-4-2 鉄軌道交通における運転事故件数及び死傷者数の推移

図表II-6-4-2 鉄軌道交通における運転事故件数及び死傷者数の推移
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(1)鉄軌道の安全の確保
 福知山線列車脱線事故等を契機として、近年発生した事故等も踏まえ、平成18年7月に施行した「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」等の一部改正により、急曲線等に対してATS等の速度制限装置の設置の義務化等を行い、これらの整備を促進している。また、「運輸安全一括法」の施行により、安全統括管理者の選任を義務付ける等、安全管理体制の強化を図っている。加えて、19年9月には、鉄軌道事業者に対し、インシデント(事故のおそれがある事態)等の把握及び活用方法の改善、列車無線による交信の制限等の指導を行うとともに、車両の安全性の向上方策等について検討や研究を進めた。
 また、17年12月の羽越線列車脱線事故を受け、全国の鉄軌道事業者に対して、風速計の緊急総点検の実施及びその結果を踏まえた強風対策の実施を指示し、風速計を新たに増設するなど、鉄道における強風観測体制の一層の強化を図っている。20年4月には、全国の鉄軌道事業者に対し、気象庁の暴風警報、竜巻注意情報等の気象情報を有効活用するよう指導を行った。このほか、鉄軌道事業者に対して、輸送の安全を確保する取組みが適切であるかどうか等に関して、保安監査等を実施することにより、事故防止を図っている。

(2)踏切事故防止対策の強化
 「踏切道改良促進法」及び「第8次交通安全基本計画」に基づき、立体交差化、構造改良、横断歩道橋等の歩行者等立体横断施設の整備、踏切遮断機や高規格化保安設備(障害物検知装置等)の整備等を推進し、踏切事故の防止に努めている。


(注)死傷者数については、JR福知山線列車脱線事故等の影響により、平成17年度は大幅な増加となっている。

 

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