第1節 地球温暖化対策の推進 

3 住宅・建築物、下水道、都市緑化等に関する対策

(1)住宅・建築物の省エネ性能の向上
 全エネルギー消費量のうち民生部門の消費量は約3割を占め、依然として増加傾向にあり、住宅・建築物の省エネルギー性能の向上は喫緊の課題である。平成17年省エネ法の改正により、住宅は一定規模以上、建築物は大規模改修等の際に省エネ措置の届出が義務付けられ、さらに、20年5月の改正では、大規模な建築物の省エネ措置が著しく不十分である場合の担保措置の強化、一定の中小規模以上の建築物に係る省エネ措置の届出等を義務付け、住宅を建築し販売する事業者に対しその建築する住宅の省エネルギー性能の向上を促す措置の導入等を図ることとしている。
 このほか、住宅の省エネルギー性能を消費者に分かりやすく表示する住宅性能表示制度や、住宅・建築物の居住性(室内環境)の向上と地球環境への負荷の低減等を総合的な環境性能として一体的に評価する建築物総合環境性能評価システム(CASBEE)の開発・普及を図っている。また、住宅金融支援機構の証券化支援事業の枠組みを活用した金利引き下げ等の支援措置を講ずるとともに、民間事業者等の先導的な技術開発の支援、設計・施工技術者向けの講習会の開催等により省エネ住宅・建築物の設計、施工技術等の開発・普及を図っている。
 さらに、既存ストックの省エネルギー対策を促進するため、既存住宅において、一定の省エネ改修工事を行った場合に、一定の要件の下、所得税や固定資産税を軽減する特例措置が講じられており、また業務用ビル等に係る省エネビルシステムを現行の税制上の特例措置の対象設備に追加した。

(2)官庁施設における地球温暖化対策の推進
 官庁施設の整備に当たっては、営繕グリーンプログラム2008に基づき、グリーン庁舎(注1)の整備(平成20年度は、新潟第2地方合同庁舎(II期)等23施設)、既存官庁施設のグリーン診断・改修(注2)の実施、適正な運用管理の徹底など、より一層のグリーン化を推進している。
 また、「今後の霞が関地区の整備・活用のあり方」(20年6月社会資本整備審議会答申)、「低炭素社会づくり行動計画」(20年7月閣議決定)等に基づき、「霞が関低炭素社会」の実現に向けて、内閣府庁舎の建替えや中央合同庁舎のグリーン改修における最新技術の採用等により、一層の二酸化炭素排出削減を推進していく。
 
図表II-7-1-6 グリーン庁舎イメージ図

図表II-7-1-6 グリーン庁舎イメージ図

(3)環境共生住宅の普及促進
 環境の負荷を低減するモデル性の高い住宅市街地の整備を推進する環境共生住宅市街地モデル事業を平成20年度は2地区で実施し、環境共生施設(注3)の整備費等に対し補助を行った。

(4)下水道における地球温暖化対策
 京都議定書目標達成計画に基づき、高効率機器の導入等の省エネ対策、下水汚泥の固形燃料化やバイオガスの有効利用等の新エネ対策、下水汚泥の高温焼却による一酸化二窒素の削減を推進している。なお、目標達成計画では下水道分野において216万トンのCO2削減を目標としている。

(5)都市緑化等によるCO2の吸収源対策の推進
 ヒートアイランド現象の緩和、二酸化炭素の吸収による地球温暖化の防止、また、多様な生物の生息生育基盤の確保等に資する都市緑化については、緑の政策大綱や市町村が策定する緑の基本計画等、国及び地方公共団体における緑の保全、創出に係る総合的な計画に基づき、都市公園の整備、道路、河川、港湾、下水処理施設、住宅、官公庁施設等における緑化のほか、緑化施設整備計画認定制度の活用により民有地の緑化を積極的に推進している。

(6)市街地整備における地球温暖化対策
 エネルギー需要密度の高い都市部は、市街地整備事業等の実施と一体的にエコまちネットワーク整備事業等を活用しつつ、エネルギーの面的利用によるCO2の削減等を推進している。


(注1)計画から建設、運用、廃棄に至るまでのライフサイクルを通じて、環境負荷の低減化を図る官庁施設
(注2)官庁施設の環境保全性に関する性能を評価すること及び改修計画から改修工事、運用、廃棄に至るまでのライフサイクルを通じ、環境負荷を低減させることを目的とした改修
(注3)透水性舗装、屋上緑化施設、ゴミ処理システム、太陽光発電等の自然・未利用エネルギー活用システム、コージェネレーションシステムその他の地球環境に対する負荷を軽減する施設又は周辺の自然環境との調和を図る施設をいう。

 

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