第2節 変わりつつある地域 

1 地域における人の動き

 人口減少や少子高齢化は地域によって異なり、それぞれの地域の様子を変えつつある。

(速度に差のある人口の減少)
 地域の人口は、出生死亡による自然増減と、移動による社会増減によって形づくられる。
 図表26は1980-85年と2000-05年のそれぞれ5年間の、都道府県別の人口の自然増減と社会増減をみたものである。00-05年では、半数近い21の道県で自然減となっているとともに80-85年と比較して社会移動が大幅に減っており、近年、人口減少とともに国土の上での人口移動が少なくなっていることがわかる。また、00-05年の分布をみるとおよそ左下から右上への線上に分布しているが、これは自然減とともに社会減もおこっている道県が多いことを示している。日本全体で人口が減少するとともに、都道府県によっても人口動態の様子は異なっており、新たな地域の差異を生み出しつつある様子がうかがえる。
 
図表26 人口の自然増減、社会増減の変化

図表26 人口の自然増減、社会増減の変化
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(高齢化の2つの動き)
 少子高齢化も地域に大きな影響を与える。
 図表27は、2005年における市町村の人口規模と高齢化率をみたものである。市町村のなかでも人口の規模により高齢化の進展に大きな違いがあり、人口規模の小さい自治体で特に高齢化が進展していることがわかる。
 
図表27 市町村の人口規模と高齢化率(2005年)

図表27 市町村の人口規模と高齢化率(2005年)
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 一方で図表28は、2005年と比較して2035年に高齢者数がどれくらい増加するか、市町村の人口規模と高齢者の増加率(倍率)をみたものである。人口規模が大きい自治体ほど倍率が高くなる、つまり高齢者数が増える傾向があることがわかる。規模が小さい自治体では、倍率1以下つまり高齢者の数は減っているところも多い(注)
 
図表28 市町村の人口規模と高齢者の増加率(2005年→2035年)の推計

図表28 市町村の人口規模と高齢者の増加率(2005年→2035年)の推計
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 日本全体で高齢化が進むが、そのスピードは地域によって異なる。またその内容も、高齢化率が上がることと高齢者の数が増えることは、地域にとって必ずしも同義ではない。高齢化の実情に応じた対応が求められる。


(注)高齢者の数は減ってもその市町村の全体の人口がそれ以上に減少すれば、高齢化率は高くなる。


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