第2節 観光立国の実現に向けた取組み 

4 観光旅行の促進のための環境の整備

(1)休暇の取得・分散化の促進
 「新成長戦略(基本方針)」において記述されている休暇取得の分散化について、幅広い分野における議論を喚起する場として平成22年2月26日にシンポジウムを開催し、普及啓発を進めるとともに、休暇の取得やゴールデンウィーク・夏休み等の分散化に対する国民意識や21年9月のシルバーウィークにおける旅行による経済効果等の調査を実施した。
 また、観光立国推進本部休暇分散化ワーキングチームにおいて、需要の平準化を通じた観光産業の生産性向上や雇用の安定化等について、政府全体で取り組む具体的な方策について検討を行っている。

(2)ユニバーサルデザインの考え方に基づく観光の促進
 ユニバーサルデザインの考え方に基づく観光を促進させるため、高齢者や障害のある方等が参加しやすい旅行商品を企画・造成する際のチェックシートを作成した。

(3)旅行取引を取り巻く環境の変化に対応した消費者保護への取組み
 消費者の安全、安心、公正な取引に係わる問題が山積するなか、平成21年9月には、消費者庁が発足し、旅行業法における消費者保護については、観光庁と消費者庁が連携して取り組むこととなった。

(4)日本人の海外旅行促進のための取組み
 平成20年12月に観光庁において取りまとめた、「国民の海外旅行容易化に向けた取組」、「若年層向け対策」、「VWC(注1)事業等と連携したTwo Way Tourismの推進」の3つを柱とするアウトバウンド施策に基づき、官民一体で取り組むべき課題について、関係者と連携しつつ取り組んでいる。
 また、海外旅行者の安全を確保するため観光庁は、外務省等と緊密な連絡をとりつつ、海外旅行者に対する渡航情報の周知徹底や、旅行業者の緊急連絡体制の整備を図っている。

(5)新たな旅行形態の創出等
 地域の独自の魅力を生かした「ニューツーリズム」の創出と流通を促進するため、平成20年度に引き続き、実証事業を実施した。
 また、22年1月より、観光立国推進本部の下に設置された「観光連携コンソーシアム」において、エコツーリズム、グリーン・ツーリズム、文化観光、産業観光、スポーツ観光、医療観光等の多様な観光メニューについて、関係省庁の連携による総合的な振興策の検討を行っている。

(6)観光統計の整備
 現在、都道府県が独自の調査方法により実施する観光入込客に関する統計について、平成22年度より調査項目や調査方法を共通化して実施するための「観光入込客統計に関する共通基準」を21年12月に策定した。また、国際的に導入が進みつつあるTSA(注2)の本格導入に向けた検討等を行った。
 今後も訪日外国人の動向に関する統計の整備等観光統計の充実に取り組むこととしている。


(注1)Visit World Campaign
(注2)TSA(Tourism Satellite Account;旅行・観光サテライト勘定)は、国民経済計算(SNA)の枠組みのなかで、観光経済を体系付けるための勘定。サテライト勘定とは、従来の枠組みにはない経済活動をSNAの中で体系付け、新しい経済概念に対応していくときに用いられる枠組みであり、日本では環境、介護、NPO等の分野で試行されている。


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