第2節 観光立国の実現に向けた取組み 

3 国際観光の振興

(1)我が国観光魅力の海外への発信
 訪日外国人旅行者数を平成22年までに1,000万人にするとの目標を達成するため、日本の観光魅力を海外に発信する訪日旅行促進事業を展開している。訪日旅行者数の多い12の国・地域(韓国、台湾、中国、香港、タイ、シンガポール、豪州、米国、カナダ、英国、ドイツ、フランス)を重点市場に設定し、プロモーションを展開している。具体的には、旅行目的地としての日本を知ってもらうことを目的とした我が国観光魅力の情報発信である認知度向上事業と実際に訪日旅行に結びつけることを目的とした誘客事業に大別される。前者においては、ウェブサイトにおける情報発信、外国のメディアにおける広告宣伝、外国で開催される旅行博覧会等での日本ブースの出展等を行い、後者においては、外国の旅行会社の日本への招請、商談会の実施、訪日旅行商品の共同広告等を行っている。
 21年においては、香港との間で日本香港観光交流年を設定し、両国が共同ロゴ、ポスターを作成・使用して、香港国際旅行博への共同出展やスポーツイベント、文化イベントを活用した交流拡大を図った。また、新型インフルエンザの流行等により、交流人口が落ち込んだことを踏まえ、交流年の実施期間を22年3月31日まで3箇月延長し、持続的にプロモーションを実施した。
 21年10月には、中部地域(名古屋、高山)にて第4回日中韓観光大臣会合を開催し、国際的な金融危機や新型インフルエンザ等の諸課題の克服に関する共同の取組みや上海万博、ビジットジャパンイヤー、ビジットコリアイヤーを活用した交流人口の拡大の取組みなど、3国間の連携強化を図った。

(2)国際会議等の開催・誘致の推進
 これまで国際会議の開催・誘致を中心に取り組んできたが、企業等の会議、企業の行う報奨・研修旅行、イベント、展示会・見本市などを含めた広義の国際会議(MICE(注1))も、訪日外国人旅客の増大、経済効果、地域の国際化・活性化等に大きな意味を持っている。
 そこで、国際会議だけでなくMICE全般を振興していくため、平成21年7月に「MICE推進アクションプラン」を取りまとめ、これを着実に実施していくことにより、MICEの開催・誘致を積極的に推進していくこととした。
 今後は、我が国がMICEの開催適地であることを集中・積極的に海外に向けてアピールするとともに、国内的にまだ浸透しているとは言い難いMICEの意義等について広く国民に啓発していく。特に22年を「Japan MICE Year」として集中的にMICEの推進に取り組んでいる。
 
「Japan MICE Year」ロゴマーク及びキャッチフレーズ

「Japan MICE Year」ロゴマーク及びキャッチフレーズ

(3)外国人観光客の受入れ体制の確保
 公共交通事業者等の取組みとして、主に都市部の地下鉄等において、路線名と駅名にアルファベットや数字を併記するナンバリング(番号制)が導入されるなど、外国人旅行者の利便性の向上が図られている。これらの取組みをより一層促進するため、「外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律(外客旅行容易化法)」では、公共交通事業者等に対して、情報提供促進措置(注2)を講じるよう努力義務を課している。特に、外国人旅行者の利用が多く見込まれる区間については同措置を講ずべき区間として観光庁長官が指定し、これに該当する公共交通事業者等(248事業者)に対して情報提供促進実施計画の作成・実施を義務付けている。
 外国人旅行者に対して報酬を得て通訳案内を行う通訳ガイドについては、外国人観光旅客に対する接遇の向上を図り国際観光振興に寄与するため、「通訳案内士法」に基づき通訳案内士試験を実施しており、平成21年4月現在、通訳案内士登録者数は13,530人となっている。また、訪日外国人3,000万人時代に対応した受入環境整備のため、同年6月から通訳案内士制度のあり方について検討を行っている。また、外国人旅行者の受入体制に関する仕組みの構築及び外国人に対する日本の魅力の発信といった努力に公的評価を付与することにより、訪日促進の諸活動が広がることを期待し、一層の外国人旅行者の訪日を推進するため、他の関係者の手本となる優れた取組みを行った者を「YŌKOSO!JAPAN 大使」として、同年12月までに国土交通大臣が63名を任命した。
 他方、「国際観光ホテル整備法」に基づき、ハード・ソフトの両面から見て訪日外国人旅行者の宿泊に適したホテル・旅館の登録を行っている。同年12月末現在、1,070軒のホテル及び1,848軒の旅館が登録されている。


(注1)企業等の会議(Meeting)、企業の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive(Travel))、国際会議(Convention)、イベント、展示会・見本市(Event/Exhibition)の頭文字
(注2)外国人旅行者が公共交通機関を円滑に利用するために必要な、外国語等による情報の提供を促進するための措置


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