第1節 豊かな住生活の実現 

2 良好な宅地の供給及び活用

(1)地価の動向
 平成22年地価公示によると、21年1年間の地価は、一昨年1年間と同様、全国的な下落となった。下落率は、三大都市圏の方が地方圏よりも、また商業地の方が住宅地よりも大きい。ただし、半年ごとの動向を見ると、三大都市圏では、昨年前半よりも後半の方が下落率が小さくなっている。
 また、「主要都市の高度利用地地価動向報告」(地価LOOKレポート)によると、下落基調が続く一方、下落幅の縮小傾向が見られる。東京圏では昨年第1四半期から第4四半期までの間に上昇又は横ばいに転じた地区が現れた。

(2)宅地供給の現状と課題
 人口・世帯減少社会に対応するため、新規宅地の大量供給を積極的に支援する従来の施策から、地域特性に応じた良好な居住環境を備えた宅地供給が図られるよう、都市再生機構のニュータウン事業では既に着手済みの事業のみを行い、住宅市街地基盤整備事業(注1)では、住環境の改善や街なか居住等に資するものに重点を置き実施している。また、税制の特例や農住組合制度(注2)等により、農地を活用した良好な居住環境を備えた宅地の供給を促進している。

(3)定期借地権の活用
 借地契約の更新が無く、定められた契約期間で確定的に借地契約が終了する定期借地権は、良好な住宅取得を低廉な負担で実現する上で有効な制度であり、定期借地権付住宅は、平成20年末までに70,000戸以上が供給されている。年間供給戸数は、19年から更に増加し、定期借地権制度が創設されて以来最多となった。
 なお、同制度の円滑な普及に向けた条件整備として、保証金、権利金に次ぐ第三の一時金方式である前払賃料方式の税務上の取扱いの明確化等を行っている。
 
図表II-4-1-6 定期借地権付住宅供給の推移

図表II-4-1-6 定期借地権付住宅供給の推移
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(4)ニュータウンの再生
 計画開発住宅市街地(ニュータウン)においては、住宅や施設の老朽化、居住者の高齢化や小世帯化に伴って生じる機能更新等の課題に対応し、良好なストックとして引き続き活用する必要がある。平成21年度はニュータウン等のエリアマネジメント活動団体の情報を収集するとともに、モデル的な活動に対する支援を行っている。


(注1)住宅宅地供給に関連する道路、河川、都市公園等の整備を行う事業
(注2)市街化区域農地の所有者が、当面営農の継続を図りながら、その農地を円滑に住宅地等に転換するために設けられる。


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