第1節 東日本大震災の発生 

コラム 多くの命を救った盛土構造の仙台東部道路

 東日本大震災では、各地で道路が被災した一方、大津波の襲来時、地域住民の命を救う命綱の役割を果たした道路があった。大津波で壊滅的な被害を受けた宮城県仙台市若林区付近を通り、市内沿岸部を南北に貫く仙台東部道路は、周辺より高い盛土構造(7〜10m)で造られている。平地に広がる若林区六郷地区(名取川河口付近)では、仙台東部道路以外に高台がなく、迫り来る津波から避難するため、多くの住民が道路の法面を駆け上がった。
 仙台若林JCTと名取ICの間に避難した約230人の住民が命をとりとめたほか、道路をはさんだ左右で浸水被害に大きな差が出たことから、仙台東部道路は、今般の大震災で「高台」と「防潮堤」という2つの機能を発揮した。
 この仙台東部道路については、震災以前にも地域住民から一時避難所として指定してほしいとの要望が寄せられていたところであり、今後の津波対策として道路の役割について検討が求められる。
 


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