第2節 国土交通省の総力対応 

4 東電福島原子力発電所事故、経済被害等への対応

 原発事故への対応として、海上保安庁においては、東電福島第一原発周辺海域に巡視船を配備して監視警戒を行い、首都圏以西と被災地域や北海道を結ぶ重要な海上輸送路の安全と安心の確保に努めている。

 また、原発事故による国際交通の風評被害に対し、港湾、空港等の放射線に係る安全情報を外国向けも含め提供するなどの取組みを進めている。
 具体的には、国土交通省のホームページにおいて、日本語、英語、韓国語、中国語により、京浜港を始めとする港湾に関する放射線量の正確な情報提供を実施するとともに、船会社等の申請に基づき、コンテナや船舶における放射線の計測結果に対する証明書を発行するなどの対策を実施している。これらについては、(社)日本船主協会等から関係企業や船員へ周知するとともに、在京大使館や外国プレスのほか、我が国の在外公館を通じ、海外の政府、港湾当局、船会社等に周知している。
 また、主要空港における放射線量測定値等についても日本語のほか、英語、韓国語、中国語での専用サイトを国土交通省のホームページに公開し、様々な広報のネットワークを通じて情報発信に努めるなど、安全に対する信頼の回復を図っている。

 さらに、観光分野においては、風評被害の発生・拡大を防止するため、震災直後から関係団体に対し、正確な情報の収集や旅行者への正確な情報提供を行うよう周知を行うとともに、国民一人一人が旅行に出かけるような雰囲気づくりを進めている。具体的には、4月21日より、旅行を通じた被災地域復興支援及びそれ以外の地域への旅行を振興させるべく、官民合同による「国内旅行振興キャンペーン」を実施し、「がんばろう!日本」のロゴや「日本の夏を元気に、旅で笑顔に。」というキャッチフレーズの下に、全国的に国内旅行需要の喚起を図っている。また、(社)日本観光振興協会が運営するキャンペーンのポータルサイトに、東日本を支援するための旅行情報や、夏休みの宿泊旅行等の民間企業や地域の観光情報を掲載するほか、新聞広告やポスター掲示、口コミ情報の発信など、効果的な宣伝を実施している。
 
図表80 官民合同による国内旅行振興キャンペーンのロゴマーク
図表80 官民合同による国内旅行振興キャンペーンのロゴマーク

 また、外国人の訪日観光に関しても、(独)国際観光振興機構(JNTO)のホームページにおいて、震災直後から、我が国の交通インフラの状況、放射線量等の震災関連情報について、多言語で、海外に向けて正確な情報提供を行うとともに、4月より、訪日旅行需要の回復に向け、動画等を利用して、海外からはわかりにくい日本の日常等に関する情報についても発信を行っている。また、ビジット・ジャパンの対象市場となっている15ヶ国・地域において、現地のメディアや旅行会社等を日本に招請し、大半の地域は平常状態にあることを直接経験してもらい、自国での情報発信や商品造成を促す取組みも行っている。
 この結果、各国の渡航自粛勧告等については相次いで見直しが行われ、4月末以降、アジア諸国等からメディアや旅行会社による下見ツアーに加えて、一般の旅行者が参加した訪日ツアーも再開の兆しが出始めている。
 また、今般の大震災の影響により、被災地だけでなく、全国的に国際会議等のキャンセルや延期が相次いでいることから、国際会議等の中止を検討している会議主催者や、誘致の最終段階にある国際会議の開催国決定権者等に対し、観光庁長官からのレターを発出するとともに正確な情報発信を行い、キャンセル防止に努めている。
 さらに、訪日外国人旅行者に満足してもらえる環境を整えるための長期的な取組みも重要であることから、外国人留学生等を活用した受入環境サポーター事業等の訪日外国人旅行者の受入体制の更なる強化を図っている。


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