第2節 急がれる次なる災害への備え 

コラム 霧島山(新燃岳)の噴火

 本年1月26日にマグマ噴火が始まった霧島山(新燃岳)においては、活発な火山活動が続き、気象庁により噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げられた。一部地域では一時避難勧告が出されたほか、爆発的な噴火に伴う多量の降灰により、住民生活や農林業、観光等の地域産業に影響が及んだ。東日本大震災後の3月13日にも、火口上4,000mに噴煙を上げる噴火が発生し、風に流された直径1〜4cmの小さな噴石(火山れき)が火口から9kmまで降下するなど、間欠的に噴火が発生している。
 こうした状況に対し、2月7日に国土交通省や気象庁を含む関係省庁から政府支援チームが派遣され、宮崎、鹿児島の両県において、噴火活動が活発化した場合や降灰による土石流を想定した避難計画の策定支援が行われた。また、2月25日には、活動火山対策特別措置法に基づく避難施設緊急整備地域と降灰防除地域の指定が行われ、避難所や避難路、教育施設や医療施設における空調施設等の整備に対する支援が強化された。
 土石流対策としては、国土交通省において、1月27日以降、市町の警戒避難を支援するため、降灰等の調査・解析を行い、降灰による土石流の想定区域及び時期について情報提供しており、5月1日の改正土砂災害防止法の施行後は、同法に基づく土砂災害緊急情報として引き続き情報提供している。また、土石流の発生に備え、土石流検知センサー等の設置や既設砂防堰堤に堆積した土砂の撤去、砂防設備の整備等の対策を実施している。
 


注 気象庁は2007年12月より噴火警戒レベルを導入した。噴火警戒レベルとは、火山活動の状況を噴火時等の危険範囲や必要な防災対応を踏まえて5段階に区分したもので、住民や登山者・入山者等に必要な防災対応が分かりやすいように、各区分にそれぞれ「避難」「避難準備」「入山規制」「火口周辺規制」「平常」のキーワードをつけて警戒を呼びかけている。現在29火山で噴火警戒レベルを提供しており、防災対策を必要とする火山について、今後順次導入していく予定としている。


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