第1節 国土交通行政の基軸の構築 

2 交通政策のマスタープランの策定に向けた取組み

 我が国は、少子高齢化・人口減少、地球環境問題の深刻化、国際競争の激化という流れの中で大きな転換期にあり、これら交通を取り巻く諸課題に対応しつつ、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、今後の交通に関する基本理念等を定める交通基本法の制定へ向けた検討を行い、平成22年6月に「交通基本法の制定と関連施策の充実に向けた基本的な考え方(案)」を公表した。また、同年11月には、交通政策審議会及び社会資本整備審議会の各分科会に「交通基本法案検討小委員会」を設置し、交通政策の立案に向けた基本的な論点について、有識者を交え専門的な観点から議論を実施し、報告書を取りまとめた。
 交通には、移動手段として経済活動・社会活動の基盤となるだけでなく、人々の社会参加を可能とすることと相まって、人が文化的に、また、未来に向かって創造的に生きていく活力の源泉という意義もあり、交通がその機能を十全に発揮するためには、従来の運輸事業者の区分に応じた縦割り的な事業行政ではなく、「利用者目線・国民目線」の視点への転換を図り、まちづくりや地球環境問題及び観光立国推進等の課題を受け止めつつ、総合的かつ計画的に施策を推進することが求められている。
 以上を踏まえ、今後の交通に関する基本理念等を定める交通基本法案について、第177回国会に提出したところであり、今後、同法案に基づく交通政策のマスタープラン(交通基本計画)を制定することによって、交通分野の諸課題に対する基本的な交通政策を包括的に示すこととしている。


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