5 航空、鉄道、船舶事故等における原因究明と再発防止
運輸安全委員会は、27件の航空事故等調査報告書を公表し、このうち平成21年3月にエンジンの不具合により、航空機が鹿児島空港に緊急着陸した重大インシデントについては、設計・製造国政府に対し、エンジン部品製造過程における品質管理の改善を図る必要性等について安全勧告を行った。
また、12件の鉄道事故等調査報告書を公表し、このうち同年8月に島根県で発生した列車脱線事故については、他の事故事例から講ずべきとされた再発防止対策の趣旨を理解して、自社の安全対策を実施していくことの必要性等についての所見を示した。
さらに、1,284件の船舶事故等調査報告書を公表し、このうち同年4月に沖縄県西表島沖で発生した旅客負傷事故については、原因関係者に対し、安全管理規程等に係る安全教育や荒天時安全運航マニュアルの作成及び遵守について勧告を行ったほか、22年5月には、居眠りによる船舶事故の発生状況を踏まえ、居眠り防止装置の義務化等、居眠り防止のための施策を検討するよう、国土交通大臣に意見を述べるなど、船舶事故等に関連して1件の勧告を行うとともに、3件の意見を述べた。
このほか、公表した報告書の概要や分析結果について解説したニュースレターを作成するなどにより、同種事故の再発防止のための周知活動に努めている。
一方、海難審判所では、22年には330件の裁決を行い、海技士等432名に対する業務停止及び戒告の懲戒を実施し、海難の発生防止に努めている。