第1節 持続可能で活力ある国土・地域づくりをめぐる現状と課題 

コラム ベトナムへのインフラ展開

 ベトナムは、1986年より開始された「ドイモイ(刷新)」路線の下、市場経済化、対外開放に努め、平成12年〜22年(2000年〜2010年)の平均経済成長率は7.26%と高成長を達成している。ベトナムは我が国に南北高速鉄道や南北高速道路等の案件について協力依頼を行っており、我が国は当該案件について支援しているほか、ラックフェン港プロジェクト等の各種インフラプロジェクトについて推進しているところである。23年11月2日には、国土交通大臣主催のベトナム国首相歓迎朝食会を開催し、様々な分野におけるインフラ整備に関する協力について意見交換が実施された。
 ベトナムで推進されている各種インフラプロジェクトは、具体的には下記のようなものがある。

(1)ベトナム南北高速鉄道計画:ハノイとホーチミン間の全長約1,600kmを結ぶ計画である。この計画については、21年12月、ベトナム側から優先2区間(ハノイ−ヴィン間、ホーチミン−ニャチャン間)の実現可能性調査(F/S調査)が我が国に対して要請され、22年5月、国土交通大臣が訪越し、この2区間に関し、実現可能な方策を検討することでベトナム側と合意した。同年10月、日越首脳会談において、総理大臣より2区間のF/S調査実施を決定した旨ベトナムに伝達し、23年5月、(独)国際協力機構(JICA)によりF/S調査が開始された。国土交通省としても、同調査において設置されている、外部の有識者から成る国内支援委員会に参画するなど、本調査を支援している。同調査結果の最終報告書は25年3月にベトナム側に提出予定である。

(2)ベトナム南北高速道路:ハノイとホーチミンの間を高速道路で結ぶ計画であり、我が国の高速道路会社が事業への参画に関心を表明しており、我が国としてもその事業参画に向けた支援を行っている。具体的な支援としては、ベトナム交通運輸省と締結した「道路分野に関する協力に係る覚書」に基づき、「ベトナム高速道路セミナー」を年1回、両国交互に開催し、我が国の経験、技術や制度を紹介するとともに意見交換を行っており、23年8月にはベトナム・ダナンにて第5回のセミナーを開催した。また24年3月にはベトナム交通運輸省の副大臣を招聘して国土交通大臣政務官と意見交換を行うなど、トップセールスにも取り組んでいるところである。

(3)ラックフェン港プロジェクト:ベトナム北部最大港湾のハイフォン港における貨物需要の増大に対応するため、同港の沖に新規コンテナターミナルを整備する計画である。
 本プロジェクトは、日本とベトナムの官民連携で推進しており、埋立て等の下物部分については公共投資により実施し、建物等の上物部分の整備やターミナル運営については日本企業とベトナム企業の合弁会社により実施されることを目指し、トップセールスによる支援等を行ってきた。
 23年10月31日には、日本企業とベトナム企業が合弁会社設立同意書に署名するとともに、公共投資部分については、総理大臣及びベトナム国首相立ち会いの下、円借款供与が決定された。

(4)エコシティ開発:23年12月、国土交通副大臣が訪越、総理大臣及び国土交通大臣の親書を携えてベトナム建設大臣等を訪問し、ベトナムにおけるエコシティ開発を進めていくための協力関係の構築について意見交換が実施された。また、24年3月、国土交通大臣政務官が訪越し、ベトナム建設副大臣との間で今後のエコシティ開発の進め方等について意見交換が実施された。
 
国土交通大臣主催・ベトナム国首相歓迎朝食会

国土交通大臣主催・ベトナム国首相歓迎朝食会
 


 

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