第1節 国土交通行政の基軸の構築 

2 交通に関する取組みについての骨格となる枠組みづくり

 交通とは、人又はモノが空間を移動することである。人は、人の交流を通じて、また、モノの交易を通じて、文化を構成する知恵や技術等を豊かにし、また、向上させることで、人類の繁栄に寄与してきた。この意味において、人にとって交通は、単なる手段にとどまらず、人が人間生活において文化的に、また、未来に向かって創造的に生きていく活力の源泉と言える。
 一方で、交通政策は、大きな転換期を迎えており、人口減少・少子高齢化の進展、地球環境問題の深刻化、国際競争の激化等、交通を取り巻く社会経済情勢は著しく変化している。また、低炭素・循環型社会の構築に向けて公共交通の役割は重要であること、運輸事業の区分に応じた縦割り的な事業行政から交通利用者や国民の視点に立った行政への転換が必要とされていること、まちづくり・地球環境問題・国際競争力強化・観光立国推進等の観点も踏まえることが必要であること、といった新たな視点が必要となっているところである。
 このような中、人の活力の源泉たる交通が、その機能を十全に発揮できるようにするためには、交通に関する施策を総合的に再構築し、これを計画的に推進していくことが必要である。
 以上を踏まえ、交通に関する取組みについての骨格となる枠組みを定めた「交通基本法」案について、第177回国会に提出したところであり、今後、同法案に基づく交通基本計画の策定等を通じて、交通政策を総合的かつ計画的に推進していくこととしている。

 

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