第6節 効率的・重点的な施策展開 

2 公共工事の品質確保や入札契約の適正化

 「公共工事の品質確保の促進に関する法律(公共工事品確法)」を踏まえ、国土交通省では、公共工事の更なる品質確保を図るため、平成20年度から原則すべての工事において総合評価落札方式注1を実施するとともに、建設コンサルタント業務等における総合評価落札方式を本格導入している。品質確保への支障、下請へのしわ寄せなどが懸念されるダンピング受注に対しては、施工体制確認型総合評価落札方式や特別重点調査の実施等の対策を行っている。さらに、工事目的物の品質確保を目的として設計者から施工者への設計思想の伝達等による受発注者間の情報共有の推進や、施工プロセス全体を通じて工事実施状況等の確認を行い、これを検査に反映させる「施工プロセスを通じた検査」を試行している。
 入札契約制度の一層の改善を図るため、23年8月に「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」の一部変更を閣議決定し、地域維持事業(災害対応、除雪、インフラの維持管理の事業)の担い手確保に資するための新たな契約方式として「地域維持型契約方式」を導入し、同年11月には地域維持型建設共同企業体運用準則の策定を行った。さらに、国、地方公共団体等において、一般競争入札等の活用に必要な条件整備として、地域要件の活用に当たり、各発注者が予め運用方針を策定すること、入札ボンド注2の積極的な活用と対象工事の拡大等、設計・施工一括発注方式やCM方式注3等の多様な発注方式の活用を推進している。
 国土交通省では、22年度においては、約99.4%の工事で一般競争入札、約99.9%の工事で総合評価落札方式を実施しており(いずれも金額ベース)、23年度以降においても引き続き、価格と品質が総合的に優れた調達を行っている。また、地方公共団体等に対して、低入札価格調査基準価格等の適切な見直し等によるダンピング対策の強化、予定価格の事前公表の見直し等について要請を行い、入札契約の適正化を推進している。


注1 価格に加え価格以外の要素も総合的に評価して落札者を決定する方式
注2 入札参加者に対して、金融機関等による審査・与信を経て発行される契約保証の予約的機能を有する証書の提出を求める制度
注3 コンストラクション・マネジメント方式。コンストラクションマネージャー(CMR)が、技術的な中立性を保ちつつ発注者の側に立って、設計・発注・施工の各段階において、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、コスト管理等の各種のマネジメント業務の全部又は一部を行う方式

 

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