第2節 住まい方の変化

第2節 住まい方の変化

(1)結婚・子育てに関する動向

(未婚化・晩婚化の進展)
 未婚率は、1970年代後半から上昇し、2010年時点で、男性の25〜29歳では71.8%、30〜34歳で47.3%、35〜39歳で35.6%、女性の25〜29歳で60.3%、30〜34歳で34.5%、35〜39歳で23.1%となっている(図表72、73)。50歳時点で一度も結婚をしたことのない者の割合を示す生涯未婚率も上昇傾向にあり、特に1990年代以降に大きく上昇し、2010年時点で男性は20.1%、女性は10.6%となった。今後更に上昇するものと考えられ、2030年には男性でおよそ27.6%と3.6人に1人が、女性で18.8%とおよそ5.3人に1人が生涯未婚と見込まれている(図表74)。
 
図表72 年齢別未婚率の推移(男性)
図表72 年齢別未婚率の推移(男性)
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図表73 年齢別未婚率の推移(女性)
図表73 年齢別未婚率の推移(女性)
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図表74 生涯未婚率の推移
図表74 生涯未婚率の推移
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 また、未婚化とともに晩婚化も進展している。妻の平均初婚年齢は1970年代半ば以降上昇傾向にあり、1975年時点で24.7歳だったものが、2011年時点では29.0歳となった。このような晩婚化に伴い、平均出生時年齢も上昇しており、第一子出生時の母の平均年齢は1975年には25.7歳だったが2011年には30.1歳にまで上昇している(図表75)。
 
図表75 平均初婚年齢と母親の平均出生時年齢の推移
図表75 平均初婚年齢と母親の平均出生時年齢の推移
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(結婚に対する意欲は依然として高水準)
 このように未婚化・晩婚化が進展する一方で、若者の結婚に対する意欲自体は依然として高い水準にある。35歳未満の未婚者のうち、いずれは結婚したいと考える者の割合は、1982年以降、男性では85%以上の水準を、女性では90%前後の水準を保っている。2010年時点でも、男性で86.3%、女性で89.4%の者が「いずれ結婚するつもり」と答えており、結婚意欲自体が低下しているわけではないことが分かる(図表76)。
 
図表76 結婚への意欲(35歳未満男女・推移)
図表76 結婚への意欲(35歳未満男女・推移)
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 結婚に対する意欲自体は高い水準にあるにもかかわらず未婚化・晩婚化が進展している要因としては、経済的な制約が考えられる。未婚者にとってどのような要因が結婚の障害となっているかを見ると、男女とも未婚者の40%超の者が、結婚の障害となるものとして「結婚資金」の欠如を、男性で19%超、女性で15%超の者が「結婚のための住居」を挙げている(図表77)。
 
図表77 結婚の障害となるもの
図表77 結婚の障害となるもの
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 これらの要因自体は以前から結婚への障害となってきたものであるが、現在の若者については、雇用の不安定化やそれに伴う収入の減少等が起こる中で、より厳しい経済制約に直面していると考えられる。若者の雇用形態別の婚姻状況を見ると、男性については、2010年度時点で正規雇用者の既婚率が27.2%となる一方、非正規雇用者の既婚率は6.7%となっており、両者の差が20ポイント以上となっている。女性については、正規雇用者の既婚率が28.2%であるのに対し、非正規雇用者では25.8%となっており、雇用形態による既婚率の差は男性ほど大きくない。このことから、特に男性の非正規雇用者の増加が未婚化・晩婚化と関連していると考えられる(図表78)。
 
図表78 雇用形態別の婚姻・交際状況(20代・30代)
図表78 雇用形態別の婚姻・交際状況(20代・30代)
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 同様に、年収が婚姻状況に与える影響について見てみる。男性では、年収が600万円までの区分では年収が上がれば上がるほど既婚率が高くなる一方で、年収1,000万円以上の者については既婚率が低下しており、ある程度の所得以上の階層においては既婚率が低くなることが分かる(女性の年収600〜800万の者についても同様の現象が見られる)。これは、経済的に既に自立していることから、結婚による追加的な経済的メリットを感じにくいこと等が理由と考えられる(図表79)。
 
図表79 年収別の婚姻・交際状況(20代・30代)
図表79 年収別の婚姻・交際状況(20代・30代)
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(単身世帯、親と同居する若年未婚者の割合の増加)
 未婚化・晩婚化は世帯のあり方にも影響を与えている。未婚化・晩婚化に伴う若者の単身世帯の増加については、第1章で見たとおり、1985年に30代の単身世帯の割合は15.0%であったものが、2010年には32.2%にまで上昇し、その後も上昇を続け、2035年には35.3%になると見込まれている(図表12)。
 また、これまで結婚を機に親元を離れていた層が未婚化・晩婚化の進展とともに親元にとどまるようになったほか、これまで進学や就職に伴って親元を離れていた層の中でも、経済的な自立が困難という理由により親元に残る者が増えたことから、親と同居を続ける若者も増えている。若者の配偶関係及び親との同居状況を見ると、独身者で親と同居する者の割合は20代、30〜34歳、35〜39歳のいずれの年齢層でも増加傾向にあり、2010年においては、20代で53.1%と過半数の者が、30〜34歳で27.6%と3.6人に1人が、35〜39歳で20.1%と5人に1人が親と同居していることが分かる。中でも、35〜39歳の年齢層における親との同居率の上昇が著しく、1995年から2010年にかけて割合で見ると10.9%から20.1%へ、人数で見ると85万人から193万人へ増加している(図表80、81、82)。
 
図表80 20代の配偶関係・親との同居状況
図表80 20代の配偶関係・親との同居状況
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図表81 30〜34歳の配偶関係・親との同居状況
図表81 30〜34歳の配偶関係・親との同居状況
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図表82 35〜39歳の配偶関係・親との同居状況
図表82 35〜39歳の配偶関係・親との同居状況
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 また、親と同居する未婚者の割合を就業の状況別に見ると、男性では、正規社員で親と同居する者の割合は70%を下回る水準であるのに対し、パート・アルバイトを行う者では80%を超える水準となっている。女性でも同様の傾向が見られることから、雇用が不安定な者ほど親と同居する傾向にあることがわかる(図表83)。
 
図表83 就業の状況別に見た、親と同居する未婚者の割合(18〜34歳)
図表83 就業の状況別に見た、親と同居する未婚者の割合(18〜34歳)
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(合計特殊出生率、合計結婚出生率は減少傾向)
 合計特殊出生率は、戦後、1950年代から1960年代にかけて大きく減少し、1951年に3.26だったものが1960年には2.00まで落ち込んだ。1975年代以降は2.0を下回る水準で推移し、2005年には過去最低の水準となる1.26を記録した。近年は持ち直しの動きが見られ、2011年は1.39となっている。
 一方、夫婦の最終的な出生子ども数を意味する合計結婚出生率は、長期的に減少しており、1951年に3.61だったものが1995年には1.79となり、以降は2.0を下回る水準で推移しているが、合計特殊出生率と比較するとその減少幅は小さい。合計特殊出生率と同様に、近年は持ち直しており、2009年時点で1.86となっている(図表84)。
 
図表84 合計結婚出生率と合計特殊出生率の推移
図表84 合計結婚出生率と合計特殊出生率の推移
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 また、夫妻の結婚年齢別にみた平均出生子ども数を見ると、妻の結婚年齢が20〜24歳の夫婦(結婚持続期間15〜19年の場合。以下同じ。)では平均出生子ども数が2.08人であるのに対し、25〜29歳では1.92人、30〜34歳では1.50人となっており、結婚年齢が高くなると出生子ども数が減少する傾向が見られる(図表85)。
 
図表85 夫妻の結婚年齢別・結婚持続期間別に見た平均出生子ども数
図表85 夫妻の結婚年齢別・結婚持続期間別に見た平均出生子ども数
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 これらのことにより、我が国の少子化は、次の世代を生み出す若者人口自体が減少していることに加え、未婚化により子どもを持たない者が増えていること、晩婚化等により結婚した夫婦が持つ子供の数が減少していること等様々な要因によって引き起こされているということが分かる。


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