第1節 働き方に関する取組み

コラム 日本の伝統木造建築技術の継承

 伝統構法を活かした木造軸組住宅は、湿度の高い我が国の気候風土に適し、長寿命化のための補修や増改築が容易であるなどのすぐれた特徴を有していますが、高度な技能を持った大工技能者の高齢化が進む一方で、新規の大工就業者数が減少していることから、次代を担う若い後継者への技能の継承が困難な状況となっています。
 このような状況を踏まえ、伝統構法を活かした木造住宅の生産体制を再構築するとともに、我が国の職人文化・もの作り文化の再興を担う人材育成を目指し、2003年より「大工育成塾」が開塾され、大工技能者の育成に取り組んでいます。
 大工育成塾には毎年18歳から25歳以下(平均年齢約19歳)の若者が全国で100名程入塾しており、研修は、3年間にわたり現場実習及び教室講義の形式で実施されています。現場実習は、受入れ工務店(2013年4月現在:全国566社)の住宅建設現場等で、1棟梁に対し1人の塾生が個別に伝統的な木造住宅に関する技術・技能について実技指導を受けています。教室講義は、全国4箇所の会場で約60日、1泊2日の集中合宿を行い、伝統的な木造住宅に関する技術・技能の理論を体系的に学んでいます。3年目には、研修の集大成として、全国の塾生が集い、各自が培った技能を活かしながら全員で約2週間かけて1棟の木造軸組住宅を建築する修了制作が行われるなど、研修を通じて大工技能者としての基本技術を取得するカリキュラムとなっています。
 
現場実習の様子
現場実習の様子

 
修了制作の様子
修了制作の様子


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