第3節 住まい方に関する取組み

(3)公的賃貸住宅の供給等による支援

 前章で見たとおり、可処分所得に占める家賃の割合が増加傾向にあるなど人々の住居費負担が高まっていることから、住宅の確保に配慮を要する者の居住の安定の確保に向け、公的賃貸住宅を的確に供給するとともに、民間賃貸住宅への円滑な入居を支援することが必要である。
 市場において自力では適正な水準の住宅を確保することのできない低額所得者等に対して、公平かつ的確に公営住宅を供給する。また、地域の実情に応じた公営住宅の供給を図るため、2012年に公営住宅法を改正し、同居親族要件を廃止したこと等により、地方公共団体の判断によって高齢者等以外の単身者も入居対象とすることを可能としているほか、事業主体の判断によって、入居収入基準の緩和や優先入居の取扱いなどが可能となっている。
 都市再生機構の賃貸住宅では、単身者の入居を可能にするとともに、子育て世帯等に対して、新規賃貸住宅の募集(抽選)時の当選倍率を20倍に優遇する等の取組みを行っている。
 地域優良賃貸住宅制度においては、子育て世帯等に対する賃貸住宅の供給を推進するため、地方公共団体が負担する住宅の整備費用・家賃低廉化費用に対する支援を行っている(2011年度末管理実績約18万戸)。
 大規模な公的賃貸住宅団地の建替えと併せ、子育て支援施設を整備することにより、地域全体の居住機能を再生し、子育て世帯等の日常生活の利便性の向上の促進に取り組んでいる。
 また、低額所得者や子育て世帯等、住宅の確保に特に配慮を要する者が民間賃貸住宅へ円滑に入居できるよう、前述した民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業のほか、地方公共団体や不動産関係団体、居住支援団体等が連携して居住支援協議会を組織し、入居可能な民間賃貸住宅の情報提供等を実施している。2013年3月31日現在で32の協議会が設立している(図表225)。例えば、2011年7月に設立した熊本市居住支援協議会では、入居可能な賃貸住宅等の情報を掲載するホームページ(2012年度登録空き物件数451件)を運営し、定期的に相談会を実施すること等により、民間賃貸住宅への円滑な入居を促進している。
 
図表225 居住支援協議会の仕組み
図表225 居住支援協議会の仕組み


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