第3節 住まい方に関する取組み

コラム 共働き子育て夫婦を対象にした住民誘致 〜千葉県流山市の取組み〜

 都心から電車で20〜25分の距離にある千葉県流山市(人口167,674人(2013年3月時点))は、住民の誘致に向けたプロモーション活動に取り組んでいます。同市では、2005年のつくばエクスプレス開業に先立ち、2003年10月に課内組織としてマーケティング室を設置し、翌2004年4月にマーケティング課として課組織に位置づけ、住民誘致の取組みの牽引役として、共働きの子育て夫婦をターゲットに絞ったマーケティング戦略を行っていることが特徴です。テレビや新聞、WEB等を通じたPR広告の発信や、「森のマルシェ」など、緑や森をイメージしたエンターテインメント性の高いイベントを通じて、同市の知名度と「都心から一番近い森のまち」というブランドイメージの向上を目指しています。
 同市のプロモーション活動の特徴として、対象を「DEWKS(Double employed with kids)」と呼ばれる共働きの子育て夫婦に絞ったことが挙げられます。対象を共働きの子育て夫婦にしているのは、住民税が税収の約5割、住民税の約9割を個人住民税が占めることから担税力の高い共働き夫婦を誘致し、さらに、彼ら夫婦の子どもたちに成人後も住み続けてもらうことで、世代循環を確保し、住宅都市として持続可能な発展を目指すためです。
 また、子育て世帯が安心して暮らせるよう、待機児童ゼロを目指し、例えば、「駅前送迎保育ステーション」を設置しています。これは、通勤時に子どもを駅前のステーションに送ると市内の指定保育所へバスで登園・降園することができるシステムです。これにより、市内の空きのある保育所への送迎が可能になり、待機児童解消に向け非常に大きな力となっています(平成25年4月1日現在待機児童数57人)。
 上記のような取組みの結果、つくばエクスプレス開業時の2005年から2012年までに、人口は約1万2千人増加し、人口が多い層も「60〜64歳」から「35〜39歳」に移動しました。
 2011年には「流山市シティセールスプラン」を策定し、同市のブランドイメージ向上に向けたプロモーション活動の方向性を示し、その具体例をメニューとしてまとめました。シティセールスプランの中では、2011年度において約20万人の交流人口を、2015年度までの5年間で約100万人まで増加させ、定住人口の増加へとつなげていくという目標を掲げています。
 
PR広告・駅前送迎保育ステーション


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